人口の減少など、中山間地域の課題を解決しようというプロジェクトが東広島市で始まっています。里山を整備して、歴史を学んだり自然の中で遊んだりする拠点にします。
東広島市福富町で行われた「森開き」。130ヘクタールの森林の一部が、「福富みらいの森」と名付けられ、一般に公開されました。

新本穂乃佳アナウンサー
「この林道、長年使われていなかったんですが、ご覧の通りイマは整備されています。この奥の里山を学びの場、遊びの場として再活用しようという取り組みが始まっています」

テープカットの後、東広島市の高垣市長や市民など70人が、整備された里山を散策しました。
東広島市 髙垣廣德市長
「森は初めて入った。よく手入れができている、鬱蒼としていたはずですよ」
散歩コースの終盤、里山の象徴的な存在、高さ4メートルのツリーハウスがお披露目されました。自然の中の建築を考えようと、地元にある近畿大学工学部の研究室が制作に携わりました。

近畿大学工学部 谷川大輔准教授
「この木を選ぶことが奇跡といいますか、この太い木が4本並んでるということとちょうど傾斜になっていて、向こう側に少し小川が流れるようなそういう環境」

まだ制作途中でウッドデッキの段階ですが、上に登ることができます。
近畿大学工学部2年・若松涼月さん
「ツリーハウスは木が土台の構造の一部になってくるのでこういう木の太さとかも考えないといけない」
近畿大学工学部大学院1年・新谷遥斗さん
「古墳もあったり下を見ると瓦が落ちてたりとかそういった里山の歴史を感じるような場所に立ってるようなそんなツリーハウス」
近畿大学工学部2年・松浦瑚奈さん
「子どもだけではなく大人の人たちの休憩、非日常を感じられるような場所を作れたらなって思ってます」
髙垣市長もウッドデッキにー
東広島市 髙垣廣德市長
「爽快ですね、童心に帰った感じしますね、トムソーヤの世界」

この里山整備に大きな期待を寄せています。
東広島市 髙垣廣德市長
「みんな森にどんな資源があるか余り知らないじゃないすか、でもここに本当に豊富な資源がたくさんあって、やっぱりそういう価値をね、どんどん皆さん方から発信していただくと、ここに行きたいなと思うんじゃないかな」
福富町は、広島県の中央部に位置する面積60平方キロメートルの山間の町です。現在の人口は2000人あまり…。この20年で3分の2まで減少しました。65歳以上の高齢化率も毎年上昇し、半数近くを占めています。

その福富町で里山の再生に取り組むのは東広島市、マツダ、博報堂の3社が3年前に設立した「生活デザイン・工学研究所」です。取り組みは、「みらいの里山プロジェクト」と名付けられ人口減少や少子高齢化が進む町の課題解決に取り組みます。
生活デザイン・工学研究所 西山雷大所長
「半年ぐらいかけて地域の方にいろいろお話伺ったんですけども、まず一番は自然環境が徐々に荒廃していく、休耕田でもそうですし里山がどんどん荒れていく。次に子供さんたちが育ちにくい、遊びにくい。勉強しにくい環境、この二つをいかに解決するかっていうところが、プロジェクトの目的になります」
「除幕式をやります」子どもたちが里山に集りました。木製の地図は地元の子どもたちがつくりました。QRコードを読み取ると子どもたちが作ったHPを見ることができます。

新本穂乃佳アナウンサー
「東広島市の子どもたちが森の中でクイズやゲームをして自然と触れ合っています」
星型やハート型に似た枝や石を捜すゲームです。
小学校2年生
「何の形? 星の形 楽しい」
小学校6年生
「森の木とか触わったり捜したりするのが楽しい」
保護者(八本松から)
「森はなかなか入れないので、入らせてもらえるのはありがたい。とてもいい経験になっている」
保護者(西条から)
「子どもらの遊び場がどんどんなくなるのでこのように整備してもらうと、連れていくところも増えるので助かります」
保護者(西条から)
「生き物が好きなので時々来れたらいい」
プロジェクトが、里山の整備とともに柱に据える取り組みがこちらです。
新本穂乃佳アナウンサー
「こちらが廃校となった旧竹仁小学校です。この校舎を再活用して地域活性化の場にしようと準備が進められています」

校舎を案内してもらいました。
東広島市・山根達也地域政策統括監
「昔ながらというか、ちゃんと標語が入ってて、子供たちが使ってたんだなって思う。ちょっと大事にしておこうかなと思います」
活用方法については、地域の住民とワークショップを重ねてきたといいます。
東広島市・山根達也地域政策統括監
「ここは元々図書室だったんですけれども、もの作りのスペースにしていこうと思います。子供たちがデジタル機器であるとか、アナログな工具を使っていろんなものが作れるような、そういうような空間にしていきたいと考えています」

2階には貸しオフィスも設置し企業を誘致したり、小学生のデジタル教室も開いたりする計画です。国から総事業費の半分となる3億円が補助される予定で、来年度中の完成を目指します。

さとやま整備と廃校の再利用に加え、プロジェクトが取り組もうとしているのは、交通インフラ対策です。
生活デザイン・工学研究所 西山雷大所長
「ここはバス路線が1本通ってるんですけれども、そこから町内を回る交通機関がないんですね。子供たちが自由に動けるような移動、あるいはご高齢の方でもいいですし皆さんが自由に動けるような、点と点を繋ぐような交通を、我々研究所の方で提供していければいいかと思ってます」
マツダの特別顧問をつとめる西山所長は、エネルギーの地産地消を目指したいと話します。

生活デザイン・工学研究所 西山雷太所長
「基本的にせっかく良い環境の場所なので、例えば、環境に良いと言われているEVですとか、あるいはマツダが推奨してますバイオ燃料、それを移動体に使っていく、環境に資する移動体。そこにコトづくりも組み合わせて、子供たちが元気になっていく構図ができるといいなと思ってます」

スタジオ)
小学校が統廃合されて福富町には1校しかない。スクールバスで登下校するがバスを降りると友だちの家も遠く遊び場もない。

福富町のみらいの里山プロジェクトは、二つのプロジェクトがある。
(1)福富みらいの森と名づけられた里山を整備(ツリーハウスなど)
(2)福富みらいベースと言って廃校となった小学校を活用子ども達が学べる遊べる場、地域の人が交流できる場に!
そこに地域内の移動としてバイオ燃料やEVを導入した交通、モビリティを整備してエネルギーの地産地消を目指している。
