3年に及ぶ裁判 会社では「浮いた存在に」

約3年に及んだ裁判。得たものも大きいが、実は失ったものもある。
松尾さんたち3人は、社内では「浮いた存在」になっていった。
トラック運転手 松尾宏忠さん「『そんなことやったって意味ねえよ』とか、『これ他の営業所にまで飛び火してきたらどうすんの』と陰では言われていたみたいですね」
それでも会社に要求し続けたのは、働く環境を良くしたいという気持ちがあったからだ。
トラック運転手 松尾宏忠さん「やっぱり『やめたいやん』とかっていうのも正直ゼロではないです。やっぱり考えました。でも考えたら、もうそれこそ社長の思うツボやなって思って」
会社を去った仲間もいた。労働組合を結成しともに裁判をたたかった3人のうち、当時32歳の男性運転手は、2024年9月、会社を退職した。
松尾さんによると、男性は訴訟中に結婚。手取りが減ったことで生活ができなくなり退職を決めたという。男性は現在、別の会社でドライバーの仕事をしている。
判決で裁判所は、東輪ケミカルの対応について、こうも言及している。
福岡地裁小倉支部 判決より「配車差別は、組合員を経済的に圧迫することで組合内部の動揺や組合員の脱退等による組合の弱体化を図るものともいえる」