勇気あるふたりが世間を変えた
ところが、この世間の風潮に抗った2人の女性がいました。
青木美代子さんと、大槻浩子さんです。この2人は体外受精を実名で公表し、体外受精児は普通の分娩で産まれた子供となんら変わらないことを訴えました。

特に大槻さんは自らの手記『「体外受精」日記 不妊治療8年目の赤ちゃん』を出版し、リアルな体験から「偏見は間違っている」ことを示し、不妊に悩む女性たちに、道筋を残したのです。
このふたりの勇気ある行動もあり、体外受精児に対する偏見は次第に収まっていきました。
もはや普通の妊娠出産
1990年代以降、日本でも不妊治療の需要が急速に増加し、それに伴って体外受精の実施件数も増えていきました。

2000年代には、毎年数万人規模で体外受精児が誕生するようになり、もはや、まったく「特別な存在」ではなくなりました。2019年には、日本での体外受精による出生数が5万人を超え、全出生数のおよそ15人に1人が体外受精児という時代になっています。