捨てることが難しい離島の事情

そう、ここは離島。ものを捨てるにしても、海が荒れれば回収は延期。粗大ゴミは、年に1度しか、回収されません。「捨てる」という行為そのものが、簡単なことではないんです。

島の人
「うちらもう、完全にめげる(壊れる)まで使うから」
国弘さん
「それがどこか必要なところに行けば、くれる人は、処分しなくてもいいんですよ」
小林さん
「使わないもの、いらないものをどうにかしたいっていう、それで私がお役に立てるんだったらみたいな感じで、割と図々しく、『はい!いただきますよ!』みたいな」

あのノートは、「使えるものをゴミにしない」という島民たちの「もったいない」精神の結晶なんです。そして、使えるものを有効活用していくうちに、芽生えた思いもあるといいます。

大事にしていた人の思いもつなぐ

小林さん
「おばあちゃんたちが壊れないように大事していたというのがすごくわかるから。なんかすごく大事にしたくなりますね」

持ち主の顔が浮かぶからこそ、大切に使いたい。「もったいない」という思いは、いつしかものへの愛着へと変わっていきました。

小林さん
「それを、ずっと使っている自分が好きみたいな、楽しいみたいな。子どもがいるので、例えば壊れちゃったものとかも『こういうふうにしたらまだ使えるよ』とか『こういうふうにしたらかわいくない?』みたいな、愛着を持って使うみたいなところを子どもたちとシェアしていきたいなって」

離島・祝島。島民たちが代々受け継いできた「もったいない」の精神は、新たな形で次の世代へとつづられ始めていました。