熊本地震9年、復興と未来への課題

震災から9年が経過した熊本。その復興の現状と、これからの地域社会のあり方について、熊本出身の政治学者で熊本県立劇場館長の姜尚中(かん さんじゅん)さんを熊本放送(RKK)のスタジオに招き、ニュース番組「NEWSゲツキン」で話を伺った。災害公営住宅の現状や、高齢化・孤立化の問題、そして「懐かしい未来」を目指す熊本の展望まで、幅広い視点から語っていただいた。

震災が浮き彫りにした社会課題

姜さんは、震災が、高齢化や孤立化といった既存の社会問題をより鮮明に示したと指摘する。

「こういう問題は震災の前からやっぱり現れていたわけですね。震災はそれをもっと劇的な形で我々に示したわけです」

特に阪神・淡路大震災を例に挙げ、高齢者の孤独死や災害関連死が約30年間で1000人以上に上ったことを述べた。その背景には、住宅の構造的問題だけでなく、地域住民の入れ替わりという要因もあるという。

「30年経つと地域住民が入れ替わっているんですね。私が神戸に行って驚いたのは、震災があった場所が30年近く経つと、周りの光景が変わって、たくさんのマンションができていることでした」