「先生が生徒を刺す」衝撃的な事件

最も衝撃的な事件は、ピークの1983年に起きた「先生が生徒を果物ナイフで刺した事件」でしょう。東京都内のとある中学校の教師が、以前から暴力事件を繰り返してきた生徒が殴りかかってきたのに果物ナイフで応戦し、全治数日の怪我を負わせたのです。

当初の世論は「教師が悪い」一辺倒でしたが、状況が分かるにつれ、教師に同情的になっていきました。

教師はその後、警察に出頭、正当防衛は認められましたが、傷害罪で罰金10万円となり、やがて諭旨解雇処分となりました。

しかし、この事件には特殊な事情がありました。教師側が原爆症の患者であり、被害者となった生徒に常日頃からからかわれていた中で発生した、という背景があったのです。

この事件から「校内暴力」は、いよいよ全国的な議論を呼び起こしていきました。