異性観には問題が
一方で、女性との関わりが少なすぎてマイナス面もあったとは思います。女子高の文化祭に行った時は、ガチガチに緊張しました。「3年間、女子と付き合いがなかったことなどすぐに取り戻せる」と思っていたのですが、浪人すると、予備校で女子と一緒になります。もう、恋の花が咲いてしまって、勉強どころではありません。「浪人して大学に行けばいい」と言っていたのに。
一番問題だったのは、女性の美しさをどこかで偶像化してしまっていたことです。僕自身の気持ちで言えば、相手を「女性として」見ていて、深いところで「一人の人間として」見ていないのでは、と自覚したのは、40代になってからでした。男子校出身だったせいだけではありませんが、影響が全くない、ということはないでしょう。
伝統校だけが別学で残ることに
「別学王国」群馬でも共学化が進んでいます。女子校が共学化したケースが5校。女子校と男子校・共学校が統合した、共学の新高校も増えています。2025年4月に沼田女子と沼田(男子)が統合したので、10校まで減りました。
【女子高の共学化】
前橋市立女子 → 市立前橋
高崎市立女子 → 市立高崎経済大学附属
伊勢崎市立女子 → 市立四ツ葉学園中等教育学校
伊勢崎女子 → 伊勢崎清明
太田西女子 → 太田フレックス
【統合して新高校に】
沼田女子・沼田(男子) → 沼田
富岡東(女子)・富岡(男子) → 富岡
藤岡女子・藤岡(男子) → 藤岡中央
境(女子)・伊勢崎東(男子) → 伊勢崎
桐生女子・桐生(共学) → 桐生
吾妻(女子)・中之条(共学) → 吾妻中央
前橋東商(女子)・前橋商(共学)→ 前橋商
別学のまま残っているのは、どれも市の名前が付いている、旧制中学校・高等女学校の流れの高校ばかりです。
【男女別学のまま】
前橋女子、前橋(男子)
高崎女子、高崎(男子)
太田女子、太田(男子)
館林女子、館林(男子)
渋川女子、渋川(男子)
共学化を打ち出した県教委
私立高校も共学化が進んでいますが、「教育の独自性」から別学も十分ありだと思います。でも、公立にはいろいろな意見があります。群馬県教育委員会が2021年3月にまとめた「第2期高校教育改革推進計画」を見ると、「男女共学の推進」と明記されていて、びっくりしました。
【基本的な考え方】
男女が共に学ぶことの意義や、性差による制限のない学校選択の保障という観点に加え、性同一性障害や性的指向・性自認に係る生徒への対応の必要性などからも、男女共学化を推進していく必要があります。
ただし、卒業生もいっぱいいますから、「県民の理解を得ながら」と、ちょっと配慮をにじませています。
群馬県同様、共学化を方針とする埼玉県の教育委員会も2025年7~8月に、中学生・高校生・保護者それぞれを対象として「共学化に関する意見交換会」を集中的に開きます。
【埼玉県の別学12校】
浦和第一女子、浦和(男子)
春日部女子、春日部(男子)
川越女子、川越(男子)
熊谷女子、熊谷(男子)
松山女子、松山(男子)
鴻巣女子、久喜(女子)
浦和高校の同窓会は「別学維持」を求める意見書を県知事あてに出しています。気持ちはよく分かります。