歴史上初めて、硫黄島民をまつる碑へ
両陛下は、島内の別の慰霊碑も訪問された。犠牲になった硫黄島民をまつる「平和祈念墓地公園」。亡くなった島民82人の名前が墓碑に刻まれている。
過去に上皇ご夫妻が島を訪れた際は、日程の都合上、この公園の訪問は叶わなかった。そのため、天皇陛下がここで拝礼するのは、歴史上初めてのことになる。

この慰霊碑の前で、両陛下を出迎えた1人が、島民3世の西村怜馬さん(43)。祖父母が元島民で、本土に強制疎開している。この日を待ち望んでいた。
「全国硫黄島島民3世の会」会長 西村怜馬さん
「硫黄島で両陛下にお会いできるなんて、夢にも思ってなかった。こんな機会ないですよね。私たちの活動にも関心を示されていると聞いていて、ずっとこの日を待ってました」

西村さんは、「硫黄島島民3世の会」会長として、勉強会を開いたり、元島民から話を聞く活動を続けてきた。
小さいころ、元島民の祖父母から戦時中の話をよく聞かされていたという。

「全国硫黄島島民3世の会」会長 西村怜馬さん
「戦争が始まると、艦砲射撃があったりして、みんなで家の近くの防空壕に入って、すごく怖かったんだという話で」
「『アメリカ軍に目をつけられないよう、家の窓に黒い布をいっぱい貼って、明かりが見えないように過ごした』というリアルな体験談も聞きましたね」
祖父母は疎開で命は助かったが、それぞれの弟が軍属として島に残ることになり、2人とも、アメリカ軍の爆撃によって帰らぬ人となった。

公園の慰霊碑には、犠牲となった2人の名前も刻まれている。

両陛下は、冷たい雨が降る中、7秒間ほど拝礼された。