東日本大震災を教訓に津波に備えて宮城県内の沿岸部で近くに高台や高い建物がない住民にとって避難に役立つと期待される「津波避難タワー」の整備が進んでいます。

宮城県東松島市大曲の矢本運動公園内で11日、津波避難タワーの落成式が開かれました。

3mの津波浸水があるという県の想定を受けてつくられたこのタワーの総事業費は、約4億円でうち2億4千万円は国の交付金です。

鉄骨4階建てで、高さはおよそ13.8m、3階と4階に冷暖房完備の避難室があり計200人を収容できます。

また200人の3日分の食料や水、毛布ワンタッチトイレなどの備蓄があります。

石垣綾香 記者
「タワーの屋上まで来ると前方には防潮堤が見えます周りは住宅が広がっていますが高い建物は見受けられません」

津波避難タワーができたのは、海から2.5キロほどの所です。

大曲地区も東日本大震災で甚大な被害を受けました。

しかし、周辺に高い建物がないためタワーを建設しました。

落成式の後に行われた内覧会で設備が整ったタワーを見学していたうちの一人、高橋好子さん(72)は、震災当時、自宅にいて押し寄せる津波を見て、急いで隣の家のフェンスに登り助かったといいます。

高橋好子さん
「この土手だよ。避難した場所が。あそこに逃げて寒いから火を焚いた」

高橋さんにとって、今回の津波避難タワーの設置は暮らしの安心につながると期待します。

高橋好子さん
「これまでとずっと変わると思う。タワーがないときはどのように逃げたらいいかと思っていた。階段だったら大変だけれどスロープが上手くできている」

東松島市は、高齢や障害のある住民のほか、公園の利用者、観光客の利用を想定し避難訓練などでも活用してタワーへの理解を深めてもらうことにしています。