寄付も集まり、コンビニの売り上げも増加

店頭にモザイクアートを置かせてもらったものの、はじめから上手くいったわけではなかったと山本さんが振り返る。

「最初は認知度が低くて、なかなか寄付が集まりませんでした。そこで、ポスターを作って店頭に貼らせてもらったり、学校のインスタグラムで告知をさせてもらったりしました」

作成したポスター

2人がさまざまな方法で周知に取り組んだことで、徐々に認知度は広がっていった。その結果、7月までに約1000枚のピースが貼られて、モザイクアートが完成した。完成によって、1つ300円のフードリボンが約1000個、合計30万円分購入されたことになる。

しかも、この取り組みを行ったことで、店舗自体の売り上げも、同時期に比べて1.5倍も伸びた。子どもを救うことと、コンビニの売り上げに貢献することが両立したのは、アイデアの実践にともなう大きな成果だった。2人には店長とスタッフから感謝の手紙が贈られた。

ローソン宝塚市役所前店からの感謝の手紙

アイデアを実践した結果を「SDGs QUEST みらい甲子園」の全国交流イベントで発表すると、最高賞のグランプリを獲得。「SDGs QUEST みらい甲子園Future Session」で表彰された。

  SDGs QUEST みらい甲子園Future Sessionの授賞式 (2024年8月 東京・赤坂「TBSイノベーションスペース(Teck Design X)」)

この授賞式の後、2人は受験勉強に専念して、それぞれ関西圏の大学に合格した。経済学部に進学した西村さんは行動経済学を、経営学部に進学した山本さんはマーケティングを学ぶことにしている。その学びも生かしながら今後も取り組みを続けていく。2人の目標は、全国のコンビニに子ども食堂を広げることだ。
(「調査情報デジタル」編集部)

【調査情報デジタル】
1958年創刊のTBSの情報誌「調査情報」を引き継いだデジタル版のWebマガジン(TBSメディア総研発行)。テレビ、メディア等に関する多彩な論考と情報を掲載。原則、毎週土曜日午前中に2本程度の記事を公開・配信している。