「もう限界」崩壊現場での声に

地震当日の夕方、神戸市内の市営住宅に到着した羽根記者は、建物の中に入り取材を続けた。

4階部分が崩れているという建物内にて、声をかける。

羽根記者
「どなたかいらっしゃいませんか。いたら返事してください」

女性
「います2人。年寄りと私。足の悪い年寄りと私」

羽根記者
「今どのような体勢でいらっしゃいますか」

女性
「空間があるからそこに座っています。年寄りは座れない。足が悪いので寝た状態」

羽根記者
「今、自衛隊呼んでいますので」

女性
「なかなか(助けが来ない)ですね。もう限界ですわ」

女性は、同じ場所に建て替えられた市営住宅に、今も住んでいることが分かった。

当時50代だった、中里謹子さん。

中里さん
「(空間は)半畳ぐらい。要らなくなったソファ捨てようねって言っていて、捨てなくてよかったんです」

清水アナウンサー
「そこにたまたま置いてあったんですか」

中里さん
「置いてあった(ソファの)上に、タンスが倒れてきたから、それで空間ができた。捨てていたら空間なんかなかった」

中里さんは20時間ぶりに助け出された。避難所で受けた1つの質問が今も忘れられない。

中里さん
「悲しいとかって、みんな無くなってしまったんですからね。避難所にいるときにテレビの方が来られて、『どうですか、これからの生活設計は立てましたか』と聞いてきたときに、『あなた何をおっしゃっているの、人間って住む所が安定してこそ、生活設計が立つでしょ。今住む所も無くて、周りに気を遣いながら生活しているのに、あなたは震災に遭っていないからそんなことをおっしゃるのよ』と言ってしまいました」