能登の家屋に眠る“価値”を復興の力に

こうした中思いついたのが、公費解体を待つ家屋の有効利用。1軒数万円で買い取り、日用品や家具などを販売するだけでなく、築100年を超えるものも少なくない能登の家そのものの再利用も目指しています。

(山本亮さん)
「建具には漆が塗られている。あと畳の下の床材にも漆が塗られているんですね。とにかくふんだんに漆が使われてるのが能登の古民家の一つの特徴で」

単なる解体ではすべて廃棄物として処分されるところを少しでも後世に残そうという取り組み。これができている背景には、被災した建物の解体が遅れ、そのまま残されている皮肉な現実もあります。

将来的には古材を建築材料として再利用してもらう構想もあります。

(山本亮さん)
「住宅メーカーの家が立ち並ぶ能登ではなく、こうした古材を利活用してデザインを考えた家がちょっとでも増えたら」

そして3月。まだ使える日用品などの販売会を東京で開いたのです。

展示会の開催に協力した名古屋出身のデザイナー鈴木啓太さんは。

(鈴木啓太さん)
「能登というと漆塗りのイメージがあるかもしれませんが、そういうものだけではなくて面白い生活の道具がたくさんあります。これは農作業で使う『かご』ですけど、こうした細く竹を割く技術は日本からほとんどなくなっていると言ってもいいと思います。非常に美しい工芸品のようなものだと思います」

山本さんは、能登への注目がどんどん薄れる中、行動を進めなければ未来はないと考えています。

(山本亮さん)
「今能登では『去年の今頃よりもつらい』と言ってる人たちが多いんですね。この先能登ってどうなっていくんだろうと。今人と人の顔の見える関係をたくさん作っていくことによって(能登に)行こうと思える人を増やすことが大事」