アメリカのトランプ政権が9日に発動させた約60か国に対する相互関税の第2弾。影響はEU内のフランス産ワインにも出ています。

“トランプ関税” 仏ワインにも大打撃

フランス東部のブルゴーニュ地方。世界有数のワインの産地として知られています。

ジャンヌ・ドロネーさん
「こちらはブルゴーニュの伝統的な地下倉庫で、上がアーチ状になっているのが特徴的です」

この地で代々130年以上、ワインの製造・輸出をしてきたドロネーさん一家。最大の取引先はアメリカで、輸出の約3割を占めていますが、関税の引き上げは「誰も得しない」と厳しく批判します。

ジャンヌ・ドロネーさん
「私たちは輸出が減りますし、輸入業者や小売業者も売り上げが減ります。そして消費者にとっても価格が上がるので、得する人は誰もいません

トランプ政権がEUに課した相互関税は20%。ワインは価格がわずかに上がるだけで、売り上げに影響すると訴えます。

ローラン・ドロネーさん
「アメリカで1本25ドルで販売されていますが、相互関税で30ドルに引き上げられるでしょう。30ドルになれば、輸入業者は代わりに25ドルのものを仕入れます」

すでにアメリカの輸入業者と「誰が関税を負担するのか」、水面下で交渉が始まっているといいます。

ローラン・ドロネーさん
「輸出量を減らすのか、価格を下げるべきか、難しい判断を迫られています。アメリカに向けた売り上げは25%減少すると予想しています」

さらに…。

記者
「こちらは出荷を待つワインがずらりと並んでいますが、アメリカへの出荷は関税がはっきりしないということで、半月近く停止しているということです」

3月、EUが打ち出した報復関税に対し、トランプ大統領が「EU産のワインなどに200%の関税を課す」と脅したことで、先行きが不透明となり、アメリカへの出荷が停止してしまったのです。

一連の関税に対して、EUは15日にも報復関税を発動する方針です。

EU フォンデアライエン委員長
「ヨーロッパは良い取引を常に歓迎しています。ただ、対抗措置で私たちの利益を守る用意もあります」

フランス産ワインはアメリカが最大の輸出先で、相互関税が続けば、蒸留酒も含めると輸出額が年間で約1300億円減少すると試算されています。(仏ワイン・蒸留酒輸出業者連盟・試算)

ローラン・ドロネーさん
「長期的には、倒産したり、営業できなくなったりして、フランスワインが衰退する可能性があります」

2、3週間後にはアメリカへの出荷が再開されるといいますが、果たしてワインは売れるのか、不安は続きます。