愛媛が全国に誇る養殖ブリ。しかし三枚おろしに加工する際、骨とその周辺の
“中落ち”が残ってしまいます。これを活用して、おいしい缶詰を開発する愛媛県立長浜高校の挑戦を追いました。
■養殖ブリの“中落ち”部分に価値を…高校生が考案したレシピで缶詰開発
長浜高校 増田温樹さんと重松そらさん
愛媛県立長浜高校の増田温樹(はるき)さん(3年)と重松そら(2年)さん。9月、2人は愛媛県宇和島市内にある魚の加工場を訪れていました。
全国有数の生産量を誇る愛媛の養殖ブリ。しかし加工場では、ある課題を抱えていました。
(加工場・ヨンキュウ 越智翔平さん)
「余すことなくそういった食材を利用することができたら環境にも貢献できる」
“中落ち”の量は年間250トンにものぼる
機械を使ってブリを3枚におろす際、中骨とその周辺の部分、いわゆる
“中落ち”が残ってしまいます。その量はこの会社で年間で250トン。骨の部分は硬く調理にも手間がかかることから食用としての活用は難しく、魚のエサとして低価格で買い取られています。
(長浜高校 増田温樹さん)
「これだけ大きいバケツに山盛りになるくらい入っているわけなので、多いなと思ったのが最初の感想で、これを利用できたら本当にとんでもないことになるんじゃないかなと思います」
レシピに“愛媛らしさ”も
“中落ち”の商品化に向け、重松さんと増田さんは缶詰などを生産する宇和島市内の食品会社と連携しました。この日は2人が考案したレシピで作った
“中落ち”の試食会です。コチュジャンベースのタレに愛媛らしさを演出するため、かんきつの皮を加えて煮込んでいます。
(試食会)
長浜高校 重松さん「めっちゃ美味しい」
長浜高校 増田さん「うわ~、かんきつがくる」
味は納得いくものに仕上がった一方で、骨がなかなか軟らかくならず苦戦していました。
骨を細かく切って熱を通しやすく
模索を繰り返す中で辿り着いたのが、骨を縦方向と横方向で細かく切って熱を通しやすくすることです。さらに水を入れ骨に水分を含ませた上で、業務用の圧力釜により高温で一気に熱を加えます。
“中落ち”の煮込み
こうして完成したのが、こちらの缶詰
“ぶりじゃん”です。骨も手でさけるほど軟らかくなりました。