インバウンドの増加で旅館・ホテル業界は活況ですが、2つの人材不足に直面しています。
後継者不足と、従業員不足です。
南信州・昼神温泉の一軒の旅館の経営が、創業家から東京の会社に移り、新たな旅館のあり方を模索しています。
経営が譲渡されたのは、長野県阿智村の昼神温泉の高台にある1989年に創業した部屋数16の「ホテルはなや」です。
旅館を買収した東京のMirai Resortが3日、新たな戦略について説明会を開きました。
鈴木文也(すずきふみや)社長は36歳。
金融コンサルや不動産会社を経営してきましたが、全国で視察を重ね、2年前初めて買収した旅館が「はなや」です。
鈴木社長:
「コロナによって観光業がつぶされてしまうのは良くない。我々だからできる旅館として携わっていきたい」

アルカリ性のお湯を美肌の湯として前面に押し出し、くつろげるロビーへの改修を進めています。
「はなや」は40年近く創業家が経営してきましたが、譲渡の理由について創業者がメッセージを寄せました。
「私自身も高齢になり、いずれこの宿を誰かに託さないといけないと考えていました」

厚生労働省の調査では、旅館経営者の年齢は60歳以上が6割を超えます。
もう一つの大きな課題は従業員不足です。
民間の信用調査会社帝国データバンクによりますと、県内企業の人手不足感について、宿泊業を含むサービス業では、75%が「正社員が不足」と答えていて、どう人手を確保するかが大きな課題になっています。
昼神温泉でも人手不足で閑散期の平日は閉館にしているところもあるということです。
鈴木文也社長:
「結局売上げを上げていくしかない」
通年雇用のために、昼神の魅力を伝えることができる地元での雇用に力を入れています。
具体的なアクションとしてMirai Resortでは、飯田OIDE長姫高校に出向いて事業の説明をするなど地元との結びつきを深めようとしています。

鈴木文也社長:
「旅館経営の魅力を伝えることで、自分も手を挙げたい人を増やしたい」