この春、大分県佐伯市に初めて社会人の硬式野球チームが誕生しました。野球の力で地域活性化へ――大きな期待を込め、地元企業12社が共同で資金を出しました。

経営者の悩みからチーム発足へ

今年度から始動した社会人野球チーム「佐伯市硬式野球団」。大分県の内外から24人の選手が集まり、社会人野球の最高峰、都市対抗出場を目指してトレーニングに励んでいます。

高司健司監督:
「立ち上げから数年経っていますので、ようやく来たなっていう感じですね。社会人野球をつくれば、佐伯市に貢献できるのではないかと思い始めました」

このチームは、1つの会社ではなく、地場企業12社が共同で運営費を負担する珍しい形態を取っています。監督を務める佐伯豊南高校出身の高司健司さん(52)は、2018年に佐伯市で野球大会を開いた際、経営者から聞いたある悩みに動かされました。

高司健司監督:
「『若者が佐伯から出て行って、そのあとに戻ってこない』という話を聞いてチームを作る流れになりました。佐伯市の知名度というのは、私も関西からずっと西の方を回ったけど、誰も知らないというところで苦労しました」

兵庫県警の警察官だった2011年に硬式野球部を立ち上げ、クラブチームの全国大会出場に導いた経験もある高司さん。新卒採用に苦戦する企業の現状を知り、大学卒業後も野球を続けたい学生とのマッチングに奮闘します。

その結果、集まった24人の選手は全員、出資した12社への就職が決まり、枠組みが整いました。