「自然災害のリスク上昇」にも注意を
ー火災にあった土壌はどうなるのでしょうか。
「植物が入り込む前に大雨や乾燥、強風などの異常気象が続くと、水はけがよく乾燥しやすい土壌や傾斜のきつい場所では、植物が生える前に雨や風で表土が流されたり、飛ばされたりしてしまって砂漠化するかもしれません」
「こういったでは微生物が定着できないので、根を張る植物も育ちにくいです。しばらくは生き物のかなり少ない場所になるでしょうが、早く生き物に入り込んでほしいものです」

「よく、『自然が回復する』といわれますが、失われた自然は元には戻りません。これから生き物たちの営みで、新しい自然が出来上がっていく、というのが正しいですね」
「ところで、生物が一時的にいなくなったところは、私たちの生活にリスクももたらします。少なくとも数年間、植物はかなり少ない状態で、乾燥した灰や砂が飛びやすくなるので周辺環境の悪化、大雨などでの地滑り、土砂災害など自然災害のリスクの上昇などは避けられません」
「非日常や、うっそうとした場所を割けて、見晴らしの良い景色を求めて散策をもくろむ方もいらっしゃると思いますが、火災の後は危険性が高まっているということをお忘れなく」

「焼けてしまったところは灰が舞いやすく、晴れた日などはそれを吸い込むとかなり苦しいです。また、黒い灰の汚れも体中に付着し、真っ黒に汚れます」
「火災の前後での地形の変化、手掛かりとなる植物も焼けて炭になっていますので、ケガや思わぬ滑落の危険性もあります。地面も緩むので、雨後は土砂災害、晴れた日は乾燥して崩れやすい岩肌からの落石の恐れも高まります」
「また、火災後は乾燥も進むので、再度火災を引き起こしてしまうリスクも高まるため、火気の持ち込みや使用は避けていただきたいものです。しばらくは安易な気持ちで踏み込むのは避けたほうが無難です」