岡山市南部の山林で、3月23日に岡山市で発生した山林火災は、発生から20日目のきのう(11日)鎮火を発表しました。

岡山県内の山林火災としては過去最大の規模となる、約565ヘクタールの範囲に燃え広がったとされています【画像①】。

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今回の大規模な山林火災、生態系にはどのような影響があるのでしょうか。生物に詳しい東洋産業の大野竜徳さんに聞きました。

「焼損面積 約565ヘクタール」そこにいた数多くの生き物たち

(東洋産業 大野竜徳さん)
「おおよそ1周400mの陸上トラックの内側が1haといわれるので、かなり広範囲なのが分かると思います。まずは、この火災の被害にあわれた多くの方は大変な事故であったと心中お察しいたします。そして、山林火災の消火活動に携わられた多くの方の頑張りには改めて頭が下がります」

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「のみならず、自然環境、そこに生きていた動植物も被害にあったことでしょう。自然には、私たちの生活につながる多くの命が息づいており、その一つ一つが大切な存在です」

「火災という大きな災厄に直面した生態系が、少しでも早く再興し、命が息づく場所へと戻ることを心より願っています」

「多様な植物」や「動物の生息地」が崩壊 広がる「死の世界」

ー今回の火災で、生き物たちはどうなったでしょうか?

(大野さん)
「山林火災の起こった場所は、多様な植物や動物の生息地となっていました。山林の植物の下層には、多くの昆虫や小動物が生息しており、樹木や草本植物が繁茂し、生態系は比較的安定していた場所が多かったと考えられます」

「今回の火災で、哺乳類や鳥などの大型の動物たちは、逃げ出せたものも多くいたのではないでしょうか」

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「ただ、その場所から逃げ出せない植物や、その下にあった腐葉土を含む地面は焼けてしまい、そこに生きていた害虫だけでなく、菌類、昆虫類、小さな動物や昆虫のほとんどは焼け死んでしまったことでしょう」

「火災時の熱の影響などで、見た目に焼けていない植物も、もう少し広い範囲ですべて枯れてしまうかもしれません」

「こうして、植物も土壌も死んでしまったことで、今後入ってくる生き物の生息場所も失われ、現在焼け跡では生態系が崩壊した『死の世界』が広がっています」

「特に巣を持つ動物や、特定の植物に依存している生物は影響を受けやすく、しばらくは戻ってくることはできないでしょう」

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「山林火災による死滅は、『固有種』『外来種』『害虫』『益虫』関係なく、すべての生き物に当てはまります。害虫も山林には多く生息しており、私たちの生活では嫌われ者かもしれませんが、生態系内では『何かの役割』を持っていたはずです」

「食物連鎖や生態系ピラミッドの一部となって、自然界の分解者として、落ち葉や枯れた樹木、動物の死骸などを分解したり、ほかの生き物の餌になったりして生活していました。そんな害虫の大部分も死に絶えたでしょう」