およそ29万8000人。これは南海トラフ巨大地震で想定されている最悪の場合の死者数です。他にも津波や経済など、さまざまな被害想定が公表されました。

「そろそろ本気になって欲しい」 行政による対応だけでは限界が

高柳光希キャスター:
南海トラフ巨大地震の被害想定が13年ぶりに見直されました。

最大クラスの地震が発生した場合、全国の約3割の場所で非常に強い揺れ・津波を観測します。

死者数は最大で約29万8000人。避難生活などが原因で亡くなる災害関連死は、今回初めて試算されましたが、最悪の場合は約5万2000人の死者が出ます。

経済へも約270兆円の打撃があり、被害額は国家予算の2倍以上になるとのことです。

今回の見直し結果は、13年前に出されたものと比べてどう変わっているのでしょうか。

TBS社会部 本杉美樹 記者:
13年間いろいろな対策が行われましたが、改めて非常に厳しい想定が示されたと思います。

想定の見直しを行った、南海トラフ巨大地震対策検討ワーキンググループの福和伸夫主査に話を伺うと、「そろそろ本気になって欲しい」という言葉が出てきました。この“本気”とは、誰が何に本気になることなのでしょうか。

死者数は最大で約29万8000人の想定ですが、そのうちの7割以上が津波によるものです。つまり、全員がすぐに逃げれば、いわば“本気”で逃げれば、津波による死者数を14万人あまり減らすことができるとされています。

福和主査は「行政による対応だけでは限界がある。避難行動や家庭での備蓄など、住民の方々が取り組まなければならない」と話し、まさに国民1人1人に本気の防災を促しています。

井上貴博キャスター:
どうやってメッセージを発するかというのは、行政としても大変難しいと思います。これまでもいわれてきたように、地震はどこまでいっても予知ができないので、逃げることは難しい。一方で津波に関しては、観測予測能力が大変向上しており、適切に逃げさえすれば命を守れるかもしれない。

いざ地震や津波が起こったときに、自分自身はどう行動できるのか。そして、周りにどう避難を促せるのか。青木さやかさんは、どのようなことを感じますか。

青木さやかさん:
私が住んでいる地域は津波が来る地域ではないのですが、「そろそろ本気になって欲しい」という福和主査の言葉はとても響きました。

ローリングストックは徐々に始めていますが、地震が起きたときに娘とどこで落ち合うのかを問われると、私もはっきり答えられません。地域の方たちと連携し、今一度ちゃんとつながっておかなくてはいけないと思います。

出水麻衣キャスター:
浸水地域が30%増えたということなので、帰宅経路も大丈夫かなど、被害想定が発表されたこのタイミングで、見直しをしていく必要もありそうですね。

青木さやかさん:
娘の学校は、電車とバスで1時間かかるところにあります。歩いて何時間かかるのかと思うと、すごく不安です。