東に「金閣寺」西に「仁和寺」…バランスで悩む「龍安寺」

 (龍安寺 岩田晃治事務長)
 「東は金閣寺さん、西は仁和寺さんという、周りとのバランスというのもありますので」

 龍安寺から「きぬかけの路」を東に約2km進めば年間の拝観者が500万人を超えるともいわれる世界遺産「金閣寺(鹿苑寺)」があります。逆に、龍安寺から西に約1km進めばこちらも世界遺産の「仁和寺」があります。金閣寺の拝観料は現在大人(高校生以上)400円。龍安寺が値上げをして600円にすると、200円も高くなってしまいます。

 そして、もう一方の仁和寺はというと…。

 (仁和寺・拝観課 竹中亮寛課長補佐)
 「まず大人の料金を500円から800円に引き上げていまして、それに合わせて高校生以下をすべて無料にしています」
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 仁和寺は去年、大人の拝観料を値上げする一方で、修学旅行生など若い世代により多くのエリアを見てもらいたいという思いから高校生以下を無料にするという大胆な変更に踏み切りました。結果的にこの取り組みは成功。修学旅行生を乗せたタクシーの駐車料金で収入がむしろ増えたといいます。
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 (仁和寺・拝観課 竹中亮寛課長補佐) 
 「高校生以下をうちだけ無料にするということについては『仁和寺さんやったな』というのはあるかもしれないですけれど、京都の社寺がもっと修学旅行生や若い世代であふれてくれたらいいなと思っています」

 今回、龍安寺が決断した100円の値上げについて、観光客は次のように話します。

 (観光客)
 「観光に来て目的がはっきりしているので特段気にならないかなと。『600円になったからやめよう』とは思わないかなと」
 「良心的だと思いますけどね、100円しか上がらないのは」

 室町時代から続くわびさびの世界を今に伝える龍安寺。苦渋の決断は春からの拝観者にどのように受け止められるのでしょうか。