数字で表す…すでに始まっていた“企業のおもてなし”
井上キャスター:
企業が新入社員に対して「入っていただいた」という時代ですね。
“おもてなし”を数字で表すということで、企業は軒並み「初任給」を上げています。

<大卒の初任給>
・3月入社 ファーストリテイリング 33万円(3万円アップ)
・4月入社 オープンハウスグループ 36万円(3万円アップ)
・4月入社 明治安田生命保険 33万2000円(3万7000円アップ)
・4月入社 伊藤忠商事 32万5000円(2万円アップ)
・4月入社 大和証券グループ本社 30万円(1万円アップ)
・2026年4月入社 三井住友銀行(4万5000円アップ)
企業が優秀な社員を獲得したいと考えると、初任給を上げるのが一番人件費には響かないですし、それで囲い込めるというのは、理にかなっているのかなという感じもします。
TBS CROSS DIG with Bloomberg CCO 竹下隆一郎さん:
初任給が上がるのが、新入社員の立場だと一番嬉しいと思います。始球式も素晴らしい試みだと思いますが、社長相手だと逆に気を遣ってしまって、私なら「嫌だな」と思ってしまいます。
特に物価高ですし、やはり「お金」が一番響くと思います。あとは、今の新入社員の方は転職が当たり前なので「どういう条件で」「どういった企業なのか」「企業理念」をもう少し謳っていくと、人材が確保できると思います。
ただ、賃上げは日本の経済にとって良いことだと思うので、この流れはどんどん加速してほしいです。
井上キャスター:
賃上げができる企業と体力がなくてできない企業の差は、どうしていこうかという所があるかもしれません。
出水麻衣キャスター:
人材獲得競争が激化すると、他のところで“おもてなし”をしなくては、と考えてしまうので「実業」で何をしていくか、ということに注力してほしいです。
文芸評論家 三宅香帆さん:
最近読んだ古屋星斗さんの著書「ゆるい職場-若者の不安の知られざる理由」という本の中で、“ゆるい職場”や“楽しい職場”を企業の人事側は打ち出そうとするけれど、実は若者が求めているのは、成長・転職、実績を積めることなどで、ミスマッチが起きているという面白い本でした。
“おもてなし”をするということ、成長の機会をあげることがかみ合ってないような気もしていて、そのあたりは今後、日本の企業が変わるきっかけになるのかなと考えます。
井上キャスター:
令和の時代だから優しくしてあげなきゃいけないけれども、それを後輩たちが本当に求めているのかが、難しいですね。

報道局経済部 竹岡記者:
初任給を2万円上げた伊藤忠商事の岡藤正広会長は「学生さんは僕の経験から言って、(企業を)初任給で選びがち」だとおっしゃっていました。金融機関の人事担当者も「これまでは横並びの初任給だったが“抜け駆け”する企業が出てきた。自社だけ上げないと人が採れない」としています。
井上キャスター:
これを“抜け駆け”とするのは日本社会らしいと感じますし、今だとインターネットサイトで初任給の一覧があるので、みんなそれを見ますよね。