ニューヨーク外国為替市場の円相場は10月14日、一時148円台をつけ、32年ぶりの円安水準を更新した。13日にはワシントンで各国の金融当局者が一堂に会し、G20財務大臣中央銀行総裁会議が開かれた。同日、市場関係者が最も注目するアメリカの9月の消費者物価指数が発表された。結果は市場の予想を上回る8.2%と、インフレの勢いが依然収まっていないことがわかった。アメリカの影響を受け、2023年には世界経済は景気後退入りするのか。先行きを専門家に聞いた。

■32年ぶりの円安どこまで 150円?160円?


消費者物価指数の発表を受け、市場は景気の加熱を抑制するFRBの大幅利上げの継続を警戒し、リスク資産である株は売られた。13日のダウ平均株価は取引開始直後から下落を始め、一時は前日から500ドル以上値下がりし、年初来の安値を下回ったが、その後急反発。前日に比べ827ドル高い3万38ドルで取引を終えた。市場の反応について専門家に聞いた。



りそなアセットマネジメント 運用戦略部 チーフ・ストラテジスト 黒瀬浩一氏:
消費者物価の発表前から、アメリカの株価の先物は大きく上がっていましたが、消費者物価の発表を受けて急落という状況になりました。ところが、大きく下がったところで何らかのきっかけで買い戻しが入ったのです。これはアルゴリズム取引(自動取引)だろうと言われています。一気に買い戻しが入ったので、買いが買いを呼んで上げ続けたというのが13日の動きだと思います。

一方、外国為替市場も大きく動いた。FRBが利上げを続け、金利差がさらに拡大するという見方から円は大きく下落。14日夜には1ドル148円台をつけ、1990年8月以来32年ぶりの円安水準を更新した。円安はどこまで進むと専門家は見ているのか。

三菱UFJモルガン・スタンレー証券 チーフ為替ストラテジスト 植野大作氏:
非常に重要な節目になると思われていた24年前の147円66銭はもう抜けてしまいましたから、目先は150円を抜けるかどうかの攻防になると思います。32年前の高値である160円20銭あたりまで、これといったストップになるようなレベルがなくなりました。

円安は商品価格を直撃している。ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長は13日の決算会見で「円安にメリットを感じている人はいない」と政府の対応を批判した。

ファーストリテイリング 柳井正会長兼社長:
経済は本当にひどいですよね。構造的に転換しないとダメでしょう。小手先のお金を配ることだけ。こんなことでいいんですかね。