特集、今回のテーマは「学校の校則」です。校則は、各学校ごとに違いがあるほか、ときには行き過ぎた校則が問題になることもあります。
今回、鹿児島市の中学校の生徒たちが制服をきっかけに、校則の意義について考える取り組みをしました。生徒たちがどんなことを考え行動したのか取材しました。
鹿児島市の鴨池中学校です。いまの時代に合った校則について自ら考え議論しようと、去年の春、生徒らが校則検討委員会を立ち上げました。3年生の肥後寅馬琉さんは2代目の委員長です。
(肥後寅馬琉さん)
「(校則は)上からの指示みたいな感じで、言われたからする考え方が(生徒には)すごく根付いている」
検討委員会を見守る先生は。
(小泉憲一教諭)「校則を必要とするのは子どもたち。その子どもたちが主体的に考え、学校をよりよくしていくのが必要だと思い、活動している」
校則検討委員会で主に議論されてきたのは、身なりについてでした。まず「生徒自身で考える」ことが出発点だと気づき、今回、制服に着目。校則に定められた制服の意義や必要性について考えるため、1日だけ制服でも私服でも登校できる日をつくろうと企画を考えました。
同じ取り組みを先に行った大分県の中学校や、制服で接客する城山ホテル鹿児島の従業員に話を聞くなどして参考にしました。ホテルの従業員からは身だしなみを整えることの大切さなどを学びました。
こうした成果をもとに、およそ半年かけて案を練り上げた校則検討委員会。企画を実行する前に各クラスでも議論してもらおうと「おしゃれと身だしなみの違い」ついて考えてもらいました。
(クラス役員の生徒)
「おしゃれと身だしなみの違いは何だと思いますか。用紙に自分の考えを書いてください」
(生徒たちの意見)
「おしゃれは自分の個性を表現するもので、身だしなみは人として最低限、整えなければならない服装」
(クラス役員の生徒)
「制服で登校したい人は手を挙げてください。私服で登校したい人は手を上げてください。少なっ」
(3年生の意見)
「私服でみんなと違うと思われたくない。制服の方がいい」
「制服にする。私服だと考えなければいけなくなるから難しい」
様々な意見が出ました。委員会では、私服での登校をイメージしてもらおうと、PR動画もつくり全校生徒に見てもらいました。
(肥後寅馬琉さん)
「(女子が)ズボンを履きたいとか、スカートを履きたい男子がいるかもしれない。小学生の頃、そういう思いを抱えている人がいた。一人でも多くの生徒が明るく楽しく過ごしてほしい。(当日は)不安が9割。正直」
そして迎えた当日。
(記者)「きょうは1日だけ私服で登校しても良い日です。みなさん、思い思いの服装で登校しています」
登校した生徒らの服装は、私服が半数以上。制服や体操服などが半数弱という結果でした。
この日の授業風景です。服装の違いは生徒一人一人が自分たちで考え、行動した結果です。
(私服だった3年生)
「学校でしか会わない友達の新鮮な姿が見られて楽しかった」
「勉強するときに邪魔にならない服になるように工夫した」
(制服だった3年生)
「私服より制服の方が勉強に集中できそうだった」
放課後、校則検討委員会のメンバーが集まりました。
「みんな前日から、どんな格好が学校に合うか、きちんと話していて、良いなと思った」
「制服が良いと改めて思ったという人も多かった」
(肥後寅馬琉さん)
「みんな考えたうえで私服を選んでくれた。そこで考えてくれたのがうれしかった。自分たちを守ってくれる校則の中にも、私たちを苦しめるものがある。それを改善していくのが目標」
鴨池中学校では、再来年度をめどに女子生徒用のスラックスの導入なども含めた制服の見直しを検討しています。今後、生徒を中心に議論を重ねていくということです。
鹿児島市では昨年度、すべての公立の小中学校で校則の見直しが行われました。市教育委員会は、生徒や保護者の意見を聞きながら見直しの作業を行うよう学校側に求めていますが、生徒が主体となった今回の鴨池中学校の取り組み、ほかの学校の良い参考になりそうです。
注目の記事
「現金を使えない子が増えた」“新潟唯一の問屋”を継いだ駄菓子屋店主が日々感じる“現代の子ども”と時代を超えて続く“小さな社会” 新潟市秋葉区

「自分は小児性愛者、女の子にしか興味がない」 再婚相手の娘(8)とその友だち(7)2人に性加害 45歳の男は7年前にも同様の事件 事実上”野放し”に

「田舎の造園屋」が魂を込める“105万円の推し活” 同郷の横綱・大の里への愛があふれて社長は本場所の“懸賞金スポンサー入り”を決断

「お昼ごはん、何が食べたい?」と聞かれたら…どう答える?地雷ワードと神ワード 共働き世帯増も、家庭内の役割は変わらず?

「朝起き上がれない…」“なまけ” と誤解されやすい起立性調節障害 不登校の児童生徒の約4割が苦しむ 適切な理解と支援を

世界陸上の競技直後にプロポーズした、されたスロバキア代表選手2人が東京大会は「婚約者」として「同日同時刻」スタート!当時の裏話や東京大会への意気込みを語る
