日本への影響は?“対抗措置”は?

小川彩佳キャスター:
トランプ関税は今後、私たちにどのような影響を及ぼすのか。ここからは経済討論家の加谷珪一さんに加わっていただきます。

藤森祥平キャスター:
まずは日本への影響を考えます。こちらは2024年の日本からアメリカへの輸出額なんですけれども、最も多いのが自動車でおよそ6兆円。次いで自動車の部品でおよそ1.2兆円。合わせて全体の3分の1を超えます。ここに関税がかかるということです。これは影響がありそうですよね。

経済評論家 元日経BP記者 加谷珪一さん:
これは相当大きいですね。関税がかかった分だけ日本がアメリカで売る車の値段は高くなりますから、当然売れにくくなりますよね。そうなると自動車メーカーの業績は悪化してくるということになります。

自動車産業は非常に裾野が広くて、例えば製鉄業界は売り上げのかなりの部分が自動車メーカー向けなんですよね。あとタイヤを作っている化学メーカーとかですね。いろんなところに影響が及びますから、長期化すると日本経済への影響はかなり大きいと思って良いのではないでしょうか。

小川彩佳キャスター:
かなり広く影響が及ぶということですね。そもそもトランプ氏は、かなり満を持してこの関税を打ち出したという感じがしますけれども、狙いはどこにあると思われますか?

経済評論家 元日経BP記者 加谷さん:
トランプさんが常日頃発言してる中身を聞いてみると、やはりアメリカで物を作って、アメリカで物を調達して、アメリカ人に賃金を払いなさい。これがおそらくトランプ政権の最大の目的、主張ということになるんですね。

そうなると、外国から物を輸出してアメリカで売ってる国っていうのは、お金を奪っていく国というふうに彼らはみなすわけですよね。なのでアメリカ国内でどうやって物を作るかということを、彼らは真剣に考えているということになるかと思います。

小川彩佳キャスター:
アメリカの自動車メーカーは、得をすることになるんですかね。

経済評論家 元日経BP記者 加谷さん:
一概に得かどうかわかりませんが、アメリカ国内は潤うことになるんです。一方、日本のメーカーがもしアメリカに工場を移すということになった場合には、国内の工場がなくなりますから、日本にとっては空洞化や雇用の問題が発生する可能性があると思って良いのではないでしょうかね。

小川彩佳キャスター:
伊沢さんはいかがですか。

株式会社Quizknock CEO 伊沢拓司さん:
やはり短期的には非常に痛手になりますし、特に中京圏とか経済基盤全体が自動車と紐づいているところがあるので、かなり大きいとは思うんですけど。

かといって大同メタルの判治会長がおっしゃっていたように、4年後に政権がどうなっているかわからないなかで、アメリカに設備投資をしたところでそれが生きてくるかもわからず、むしろ工場を持つことが長期的なリスクになる可能性があると考えると、日本だけではなく、各国がトランプさんの思い通りに動くかというところも少し疑問にはなってきますけどね。

経済評論家 元日経BP記者 加谷さん:
確かにこれアメリカにとってもどう考えても得じゃないんですね。ただ今のアメリカはやっぱり自分たちが損してでも、外国に富を奪われると彼らは考えているので、それを防ぎたいということですから、もしかすると、そのような状態があるとわかっていても続けようという意思はあるかもしれないんですよね。

なので、そこら辺をよく見極めないと、政権が変わったからといって必ずすぐ元に戻るかっていうと、そうではない可能性もあるのではないかと思います。

藤森祥平キャスター:
流れを作ってるというイメージですか。

経済評論家 元日経BP記者 加谷さん:
そうですね。少し表現がよくないかもしれませんが、アメリカにとっての自動車って日本人にとってのお米みたいなものなんですよ。つまり魂みたいなものなので、損得ではなくて、守りたいという意識が非常に強いんですよね。

それが支持者を通じて具現化してきたのがトランプ政権ということになるので、これは意外と根強い大きな流れかもしれないんですよね。

小川彩佳キャスター:
アメリカ国内の景気後退に繋がってもですか?

経済評論家 元日経BP記者 加谷さん:
これね、明らかに関税をかければもう景気にはマイナス、それからインフレにもなるんですけれども、それをしてでも、やっぱり自国の産業を保護したい。少なくとも今のアメリカの世論はそういう方向に傾いてるっていうことですから、日本にとってはなかなか厄介ですよね。