持ち駒は内田体制下で進められていた新車戦略 社内の「共感能力」を高められるか

エスピノーサ次期社長は“ゴーンの呪縛”から日産を解放することができるのだろうか。
逆風のなかでの持ち駒は、内田社長体制下で進められていた新車戦略だ。2025年度は大幅な航続距離の改善を見込むEV「リーフ」の新型車が投入される。そして最大の課題である北米には、2026年度に高速走行時の燃費を最大15%向上させたハイブリッド車を投入する予定だ。
こうした内田体制のもとで用意した新車を投入しつつ、まだ全容が明らかとなっていないリストラ策をどう進められるかがエスピノーサ次期社長の当面の課題となる。
またホンダとの経営統合が白紙となり、宙に浮いてしまったパートナー作りも喫緊の課題となる。ホンダとは引き続き協業を進めているとした上で、エスピノーサ次期社長は「私はオープン。ホンダであれ他のパートナーであれ、パートナーと手を組むことによって日産の企業価値が上げられるのであれば議論する用意がある」とした。
社内の「共感能力」を高め、一丸でこの難局に立ち向かうことができるのか。Car Loverである次期社長に日産の未来が託されている。
取材:TBS報道局 経済部・梅田翔太郎
2013年入社。自動車・鉄鋼担当。学生時代は体育会ヨット部に所属し、一年の半分近くは洋上で暮らす生活を続ける。引退後は仕事と平行して母校で監督を務め、10数年ぶりにチームを全日本インカレに導いた経験も。趣味は博物館めぐりで担当業界の企業博物館を訪ねるのがライフワーク。