元長野県警 上原敬さん:「薬品はどこで売ってるのかっていうのは、今ならインターネットか何かで調べられるんすけど、当時はそれがないのでカタログなんですね。製造会社から販売ルートをたどっていって、この薬品はどこに卸さされてるんですかっていうのが調べていったんですよ」

全国4200か所以上に及んだ捜査の末、たどり着いたのは大量に薬品を購入していたオウム真理教でした。

元長野県警 上原敬さん:「宗教団体があの薬品買うのかなと、えらいことになってきたぞというのが、第一歩だった」

しかし、強制捜査はできませんでした。

元長野県警 上原敬さん:「サリンを作るためには毒物を使わなくちゃいけないんですけど規制がない。規制がないので、取締りができない状況」

その後、地下鉄サリン事件が発生。
ただ、上原さんたちの薬品捜査で教団に迫っていたことが2日後の強制捜査につながりました。

上原さんは事件に関わった人間の中には、優秀な若者もいたと当時を振り返ります。

元長野県警 上原敬さん:「熱意とか知識、方向さえ間違わなければ、もっと違う意味で社会に貢献できたのではないか」

上原さんは高校生に対し、SNS上などであふれる情報が正しいかどうかを疑い、科学の使い方を間違えないでほしいと訴えました。

元長野県警 上原敬さん:「科学は使い方によっては人類を幸福にもするんだけど、逆の方向に誤ってしまうこともあるのではないかなというふうに思ったわけです」

講演を聞いた高校生はー。

高校生:「科学って社会を豊かにすると思うけど、その一方で、社会を壊してしまうこともあるので、繰り返してはいけないなと思いました」

高校生:「色んな情報を収集して自分で正確な情報を身に着けて社会に出られるようにしたい」

高校生:「間違った方向にいかずに、考えながら(科学を)役立てて行けたら」

事件を知らない若者へ、サリン事件に携わった捜査員の思いは受け継がれました。