10月13日、カザフスタンで「アジア相互協力信頼醸成措置会議」という国際会議があった。中国、インドなどアジアを中心に韓国、トルコ、ロシアも含む26か国で組織される、OSCE(欧州安全保障協力機構)のアジア版といった位置づけで、日本もオブザーバー参加している。
その席上で、トルコ・エルドアン大統領がウクライナを”戦場”と位置付け「私たちの目標は流血をすぐに終わらせることだ」と述べた。会議にはプーチン大統領も出席している。その目は時に泳ぎ、時に点になっていた。そしてエルドアン氏はこう続けた。「平和は外交によって実現される。戦争に勝者はおらず、平和に敗者はいない」。
プーチン氏を前にして各国の元首などが集まった場で、高潔な正論をぶちまけたエルドアン氏。このシーンにプーチン大統領の置かれた立場、孤立感を感じずにはいられなかった。
■「交渉する素振りを見せながら時間を稼ぎ、ロシア軍の立て直しを図る」

9月、ウクライナ4州を一方的に併合した際の演説でプーチン氏はウクライナに対して即時停戦と交渉のテーブルに戻ることを強く求めると語った。ウクライナ・ゼレンスキー大統領は4州併合宣言以降、全面対決の姿勢を崩していないが、ここへ来てロシア側から“停戦”“交渉”という文言が度々聞こえる。ロシア側に何らかの変化があるのだろうか・・・
元在ロシア特命全権公使 河東哲夫氏
「プーチンの口調が変わってきている。ルハンシクとドネツクを占領した時にプーチンさんは“もう打ち止めにしようじゃないか”って言った。あの時は強い立場から言ってた。今はもう“抵抗するのやめてくれ”っていう弱い立場から言っている感じ」
防衛研究所 兵頭慎治 政策研究部長
「今交渉しても歩み寄れるところがないと思う。4州の併合をロシアが譲歩するというのは無いと思うし、ウクライナは併合された場所の奪還は引き続きやるでしょうし・・・。(中略)確かにロシア側が弱気になっていて“交渉”ってフレーズが良く出てくるんですが、実際交渉しても巧くいかないことをロシアはわかっていて言ってる。トルコの仲裁話も同じでしたけど、今回も交渉するそぶりを見せながら時間を稼いで、ロシア軍の立て直しを図るんだと思う」
交渉するそぶりといえば、ロシア側はウクライナだけでなく、11月のG20の際にアメリカとの会談の用意があると言い始めているが、バイデン大統領も“今プーチン氏と会談する根拠を見出せない”としている。