かゆくなったときには、既にたくさんの卵が…?

まずお話を聞いたのは、人に直接的な被害を与える「衛生害虫」全般の生態などを研究する、一般財団法人 日本環境衛生センター 環境生物・住環境部の橋本知幸部長。

Q.大人よりも子どもにうつりやすいイメージがあるが?
(日本環境衛生センター 橋本部長)
「アタマジラミは、頭髪を中心に人から人にうつる。特に子どもは頭をくっつけて遊ぶことが多いため、子ども同士でうつりやすい。保育園ではお昼寝の時に園児同士の頭が接触したり、寝返りを打った際にまくらに付いたシラミが別の子どもにうつる可能性もある」

提供:東京都 保健医療局
提供:東京都 保健医療局

人の血をこまめに吸っていないと死んでしまうアタマジラミ。橋本部長は、毛髪同士が接触したタイミングを狙って、別の人にうつることが多いといいます。

Q.うつりやすい季節はある?
(日本環境衛生センター 橋本部長)
「アタマジラミが活動しやすいのは、冬よりも夏。夏はプールなどがあり、タオルやくしなどを介してうつることもあるので、自分で用意したものを使う方がいい」

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Q.子どもからかゆいなどのサインはある?
(日本環境衛生センター 橋本部長)
「血を吸う時に皮膚に触れる“唾液”によって、かゆみが出る。しかし、蚊に刺されたことがない子どもはかゆみが出ないのと同じで、初めてアタマジラミにかまれた時は症状が出ない。何度か刺されるうちに唾液を“異物”と認識して、抗体ができることによって、アレルギー反応が起きると考えられる」

名古屋市千種区にある「ごとう外科・皮フ科」の加藤直美院長は「かゆみを訴えている患者は、既にたくさんの卵がある可能性が高い」と話します。

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(ごとう外科・皮フ科 加藤院長)
「アタマジラミ自体を見つけるのは、我々医者でも難しい。頭がかゆいなどの理由で患者さんが受診した場合は、虫を見つけるというよりも卵を見つけて、顕微鏡で確認するしかない。そして、子どもの髪にシラミの卵が見つかった場合は、既に兄弟や親の頭髪にいる可能性もある」

Q.では、早期に見つけるには?
(ごとう外科・皮フ科 加藤院長)
「親が子どもの頭を洗う前に、よく見てあげることが大切。ポイントは髪が乾いた状態で見ること」

日本環境衛生センターの橋本部長は「頭を洗う方がリスクを減らせるとは思うが、洗ってもうつることはある。決して不潔だからという理由ではない」と話します。

小さく、フケなどと見分けがつきにくいアタマジラミ。羽がないため、飛ぶことも跳ねることもできません。隠れやすく髪の中の湿度が高い長髪の子どもの頭は、特にシラミが生きながらえやすくうつりやすいということで、日頃から子どもとのスキンシップを通じて、定期的に頭髪にアタマジラミや卵がないかチェックするのがいいかもしれません。

【CBCテレビ 報道部・池田有希】