2023年2月、妊娠8か月のゆきさんです。

・ゆきさん(仮名 当時22)
「両端らへん?横にいるんですよ、私の赤ちゃん」


札幌市にある「リリア」という施設。

 ゆきさんはここで、出産の前後約7か月間を過ごしました。

「リリア」は、思いがけない妊娠に悩む女性たちが、一時的に無償で住むことができる居住スペース。

すすきののガールズバーで働いていたゆきさん。

妊娠を機に辞めたため、収入が途絶え、生活は困窮。

児童養護施設育ちで頼れる人もおらず、ここにたどり着きました。

「出産」「養子」「中絶」…さまざまな選択肢のなかで自ら育てることを選んだのです。


相談員 佐々木友美さん 「ごはんあるの?」

ゆきさん 「いらないです」

相談員 佐々木さん 「ダメだよ…ごはんないの?」



時におせっかいに、親子のような会話をみせるふたり。

「リリア」の支援は、“居場所”の提供だけではありません。

・相談員 佐々木友美さん
「自分で育てたいという彼女の希望があるので、一緒に買い物をして、予算を決めて『きょうのミッションは3000円』と言いながら」


ホストクラブに通い、1日で数十万円を使い込むこともあったゆきさん。

金銭感覚を身に着ける必要がありました。

赤ちゃんだけでなく、「母」となる女性のための支援。

ただ、産んで終わりではないのが子育てです。