工場跡地に生まれた「新たな街」
「スタジアムシティに関わってくれたすべての方の人生が、音楽でつながる時間が過ごせればと思います」
歌手・福山雅治さんは、こう観衆に語りかけた。2024年10月13日、福山さんの故郷に誕生したスタジアムのこけら落としとして無料ライブが行われ、約2万5,000人が地元が生んだスターの凱旋と歌声に酔いしれた。

ライブの舞台となった「長崎スタジアムシティ」は、JR長崎駅から歩いて約10分の場所に位置する工場跡地に生まれた。サッカーJ2V・ファーレン長崎のホームスタジアム「PEACE STADIUM Connected by SoftBank」を中核施設とし、日本初となる部屋から試合が観戦できるホテルや温浴施設、スーパーマーケット、ショッピングモール、オフィス、スタジアムの上空を横断するジップラインなどのアクティビティ、さらに長崎大学の新キャンパスまでが、東京ドーム1.5個分の広さの敷地に集約された、まさに「新しい街」だ。
スタジアムは、試合日以外も常に開放。すべてキャッシュレスのフードコートで注文した料理は、スタンドの座席で食べることもできる。取材したこの日は、天気も良く、スタンドで会社の同僚とランチを楽しむサラリーマンやスタジアムを1周できるコンコースで、ランニングをする若者の姿もあった。
「人が多くてびっくり」
「長崎じゃないみたいで楽しい」
こう語る市民はみな、どこか誇らしげだ。オープンからわずか半年で、長崎の新しい顔となった。
さらに、「この街」には、静岡市が現在、JR東静岡駅前に建設を計画しているアリーナもある。「HAPPINESS ARENA」と名づけられ、B1リーグを戦う長崎ヴェルカのホームアリーナはチームカラー「ヴェルカネイビー」に染まっている。

2026シーズンに開幕するプロバスケ新リーグ「Bプレミア」の基準を満たす6,000人収容。全席にドリンクホルダーがついているほか、高級ホテルを思わせるVIPルームが複数有するのも特徴だ。こけら落としは、こちらも長崎の英雄・さだまさしさんが務めたほか、音楽ライブやイベント、アウェーゲームのパブリックビューイングなども開催している。
「年間20日のサッカーの試合だけだとイベント日は非常に少ない。アリーナであれば、年間150日とか、うまくいけば200日の稼働ができる」
スタジアムシティを運営するリージョナルクリエーション長崎の折目裕執行役員は、当初の計画段階では存在しなかったアリーナ誕生の経緯をこう明かした。
スタジアムとの相乗効果は、すでに出ている。