このまま時が止まってくれないかな

(小寺真生記者)「それはなんのお薬?」

(孝博さん)「抗がん剤。毎日朝1回飲まなきゃいけないんです。ステージは4です」

孝博さんにガンが見つかったのは去年の8月。呼吸器から全身に転移した状態でした。

(医師)
「進行したガンになってしまっているのは悲しいことではあるんですけど、今、薬も良くなっているので元気な時間をなるべく長く作ってもらって」
(孝博さん)
「満足しています」

(医師)
「ご本人さん治療に前向きにやってもらったり頑張っていただいているので、これが続けられたらいいかなと思います」

統合失調症とガン。2つの病気を抱えながらも前を向く孝博さんの姿は、2人を勇気づけています。

(幸さん)
「私が生きていこうと思えたのは主人のお陰なんですね。主人が笑って生きていくことを教えてくれたので、私はお返しに笑いながら最後を見送ろうと心に決めました」
(心さん)
「ひたすら楽しむしかないよな」
(幸さん)
「ひたすらなあ」

(心さん)
「これからはお父さんと最後の日まで卓球したり散歩したりして、楽しくガンのことを忘れるくらい楽しくして生きていきたいなと思います」

生きた証を残したい。孝博さんはきょうも心さんに父親の姿を見せます。

(幸さん)
「主人は父親として息子に命を託しているんだと思うんです」

「それが見ていて伝わってくるから、伝われ伝われと思いながら見ています」

「このまま時が止まってくれないかなと思います」
(孝博さん)
「(息子には)上に馬鹿がつくくらい正直に生きていってほしいです」

「現状のまま仲良く暮らしていければ幸いです」

一日一日を大切にしながら。中田さん家族は、かけがえのない「今」を生きています。