住民の約1割が津波で死亡する

ゴーグルの中に再現されていたのは三重県の最南端、紀宝町の町並み。南海トラフ巨大地震では最大で11メートルの津波が襲い、住民の約1割、900人が津波で死亡するとされています。

バーチャル空間には、津波の到達も再現されていて、訓練は津波が到達する前に避難所に指定されている、町役場まで逃げようというもの。

(有川太郎教授)
「“適切な経路”で避難をすれば確実に人命の被害は抑えられるので、訓練をいかに効率的にやるかが大事」

有川教授は、もともとは津波から町を守る、防潮堤の設計などを専門にしていましたが、東日本大震災ではその防潮堤を津波が乗り越え、多くの命が失われました。

(有川太郎教授)
「一番悩んだのは本当に今までの対策でよかったのか。防波堤・防潮堤があったから逃げなかった人がいたというのが一番きつかった」

津波を防ぐより「どう避難するのか」に研究を切り替えた有川教授。

海沿いに住宅が密集し、道も入り組んでいる紀宝町でより早くより安全な避難の在り方を行政と探ってきました。そして、去年12月、町の人たちに“VR避難訓練”を体験してもらうことに。