14人中“最適ルート”で避難できたのは…?

女性は山に向かわず、左折して役場の方向に。前日にVRで訓練したとおりです。

しかし、途中で道が分からなくなってしまいます。

地元の人に道を尋ねて役場を目指しましたが、案内されたのは右に曲がる「最適ルート」ではなく、左の「分かりやすい道」。女性は結局、遠回りをして町役場にたどり着きました。

別の男性は…スタート地点から見えなかった町役場ではなく、橋を渡り、山の方に向かってしまいました。しかし、この山に続く道はなく、大回りをして緩やかな坂道をのぼり続けることに。

(男性)
「ここまで来たらもう大丈夫だと思う」
「高台しか頭になかった。高い建物の場所も知りませんし」

今回の検証では14人のうち、VRで体験したはずの「最適ルート」で避難できたのは3人だけ。一方、役場に向かわず、山へ向かってしまった人は2人で、土地勘のない人が津波から逃げる難しさが際立つ結果に。

(有川太郎教授)
「体験した人の多くがリアリティが少ないとおっしゃっていたので、リアリティの向上が一番の課題。思わぬところから来る津波もバーチャルの中ではうまく再現できると思うので想定しないようなことを訓練できる場になると考え、今後も作っていきたい」

東日本大震災から14年。津波から命を守る試行錯誤が続く中、発生確率が「80%程度」に上げられた南海トラフ巨大地震。その時は、確実に近づいています。