鈴木特任教授「コメはそんなに取れてない、とみんな言っています」

 入札とはどういうものなのか?青森県産の「まっしぐら」や宮城県産の「ひとめぼれ」など41銘柄、15万tが今後放出されます。

 今回の入札に参加できる業者には条件があり、『年間の玄米仕入量が5000t以上の集荷業者』『卸売業者等への販売の計画・契約を提出できる業者』です。3月10日に1回目の入札が行われ、午前10時までに入札額をメールで送信しました。

 備蓄米は日本各地の倉庫に保管され、整理番号で分けられています。業者はこの整理番号ごとに入札を行い、最も高い金額をつけた業者が落札、というシステムになっています。今回入札がなかったものや、最低落札価格に達していない整理番号のものは11日、12日に入札が行われる予定です。
7.jpg

―――高い価格の業者が落札するなら、高値になるのでは?と疑問が湧きますが、農水省は「販売価格の制約は設けていない」とするいっぽう「落札したにもかかわらず市場に卸さない場合は指導もありえます」としています。鈴木先生はどのように考えますか?

 「高値となる可能性はおっしゃる通りです。政府は、『流通業者が隠している、それを是正すればいいだけだから、その分を一度出してまた買い戻しますよ』と言っているわけです。ということは流通量は変わらないので、そのことを市場が見込んでしまえば結局なにも変わらない状況さえ考えられる。」

 「そもそもコメは足りてないんですよ。生産量が足りてない。『もうコメは作らないでいい、田んぼは潰しましょう』と、米農家は赤字で苦しんでても放置されてきたわけで、生産が減りすぎていたところに猛暑があった。政府は作況指数は100を超えて取れているといいますが、現場はそんなに取れてないとみんな言っています。かつ品質が落ちているから、精米にしたときに、いわゆる普通の主食米として売れる量が減っているわけです。」

 「実質は、もう前倒しで2024年産が使われて、2025年産の買い付けの約束までできています。ということは、端境期になってくると、不足感が高まってくる。これだけ市場が『コメがもうないんだ』と言っているわけで、流通業者が隠しているんじゃないんですよね。(政府は)そこをまず認めて、それに対する対策をやらない限り、本質的には問題は解決しない。また不足が激しくなって何かあればコメ騒動が起きるような状態を放置してしまうということになるんじゃないかっていうのが、根本的な問題だ」