“バーチャル避難”住民が体験 最適ルートは?避難の難しさ

そして、翌日。道を覚えた14人は、無事、役場に避難できるのか?海のそばから実際に逃げてみてもらいます。スタート地点から目に入る高台は、正面の山。避難するべき役場は、周りの建物が邪魔をして見えません。
有城さんがスタート。前方に山が見えてきましたが、そこには向かわず、迷うことなく左折して役場の方向に。前日にバーチャルで訓練したとおりです。
しかし、途中で道が分からなくなり、近所の人に道を尋ねることに。
有城やす子さん
「役場はこの細い道の方?」
近所の人
「こっち、こっち」

再び歩きはじめ、二股の道に差し掛かると、前日にバーチャル訓練で覚えたはずの「最適ルート」、右をとるべきなのに、左に行ってしまいます。
地元の人が近い右のルートではなく、分かりやすい左のルートを教えたため、有城さんは左を選択してしまったのです。役場には着いたものの、遠回りしてしまいました。

一方、別の男性は役場ではなく、スタート地点から見える高台・山へ。しかし、実はこの山に、続く道はありません。
役場ではなく山に向かった男性
「高台しか頭になくて」
結局14人のうち、「最適ルート」で役場に避難できたのは3人だけ。土地勘のない人が津波から逃げる難しさが浮き彫りになりました。

中央大学 有川太郎 教授
「体験した人の多くが『リアリティが少ない』と言っていたので、そこのリアリティの向上が一番の課題です」
最新技術でどう命を守るのか、試行錯誤が続いています。