土地勘のない人が、どうやって安全な場所にたどり着くか。一刻を争う津波からの避難では「最適ルート」を選べるかどうかが明暗を分けます。中央大学の有川教授らはゲームのシステムを使った「バーチャル津波避難訓練」を開発中。南海トラフ巨大地震で津波の被害が想定される三重県紀宝町の人たちに、この訓練を体験してもらいました。

津波を体感“バーチャル避難” 最新技術で最適ルートを把握

専用のゴーグルの中に広がる、ある港町の中をどんどん歩いていきます。すると、向こうから津波が。これは、次世代の津波避難訓練システム。開発しているのは、中央大学の有川太郎教授です。

この装置、もともとはゲーム用。専用のゴーグルを付け、すり鉢状のベース部分でセンサー付きの靴を履いて歩くと、映像が連動してバーチャル空間に没入できます。有川教授はゲーム映像の代わりに三重県紀宝町を再現した映像の中を歩きまわり、津波から逃げる訓練をできるようにしたのです。

紀宝町には、南海トラフ巨大地震が発生すると5分で津波が到達。最大の高さは11メートルに上るとされています。

中央大学 有川太郎 教授
「“適切な経路”で避難をすれば確実に人命の被害は抑えられるので、訓練をいかに効率的にやるかが大事」

今回、紀宝町の人たちがバーチャル避難訓練を体験することに。うまくいくのでしょうか?

ゴーグルを身に着けるのは有城やす子さん(77)。

視界に広がる紀宝町の街を歩いていくと、バーチャル映像に矢印が表示されます。これが最適な避難ルートを示しています。

有城やす子さん
「ここへ入るんですね」
中央大学 有川太郎 教授
「そうです、そこ入れます」

矢印に沿っていくと、町が指定する避難場所・役場に無事たどり着きました。

有城やす子さん
「こちらに行ったら海があるとか、崖があるとか、良く分かったので、いざとなった時に『あっちはダメだ』と良く分かる」

今回、役場周辺に土地勘のない14人にバーチャル訓練で最適ルートを覚えてもらいました。