2m04、女王の貫禄とフリードリヒの決断
バーの高さは2m04に上げられました。1回目は3人とも失敗。チチェロワは過去に1回だけ跳んだことがある高さでしたが、2回目も失敗。そして迎えたフリードリヒの2回目。フリードリヒを後押しするような静けさの中、挑みましたがバーが手に当たってしまい失敗となりました。まだ誰も成功していない2m04。ブラシッチの2回目です。スタジアム内にはすでに手拍子が起こっていましたが、もう1度、自分のタイミングで手拍子を要求します。ディフェンディングチャンピオンのブラシッチが完璧な跳躍でクリア、おなじみのダンスで喜びを表現しました。その後、チチェロワは3回目を失敗し、金メダル争いから脱落。フリードリヒは2m04を回避し、2m06の一発勝負を選択したのです。
2m06、フリードリヒ最後の挑戦
フリードリヒの自己ベストと同じ高さの2m06。跳躍準備に入ったフリードリヒ。右手で握りこぶしを作り、気合いを入れます。その後、目をつぶり集中。そして少し微笑み、人差し指を唇にあて静寂を求めます。2m06に向け、いざスタート。跳び越えたかに見えましたが、その後、無情にもバーが落下し失敗に終わったのです。勝負が決まった後、そこにはすがすがしい笑顔と観客に深くお辞儀をするフリードリヒの姿がありました。一方、2連覇が決まったブラシッチは大喜びでウイニングラン。途中、こみ上げてくる涙と共にグラウンドを走りました。
陸上豆知識 Q.なぜ走高跳は背面跳びなの?
走高跳の主な跳び方は「ベリーロール」「はさみ跳び」「背面跳び」の3種類です。現在、主流になっている跳び方は「背面跳び」。お腹がバーに向いているより、背中がバーに向いている方が手足がバーに当たる確率が低いからです。背面跳びは英語で「Fosbury Flop(フォスベリーフロップ)」と言います。この名前は1968年メキシコ五輪の男子走高跳金メダリストのディック・フォスベリーに由来しています。それまで国際大会で主流だった跳び方は「ベリーロール」だったのですが、フォスベリーはメキシコ五輪で自ら考えた「背面跳び」でオリンピックレコードとなる2m24を跳んで金メダルとなりました。
東京2025世界陸上 棒高跳「この選手に注目!」
【外国人選手】
<女子>
◆ヤロスラワ・マフチク(23、ウクライナ)2m10 ※世界記録
2023ブダペスト大会・金/パリ五輪・金
※名前の後ろは自己ベスト

















