「責任ある野党」とは?

「103万円の壁」「高校無償化」「高額療養費」この3つのテーマにおいて、常に議論の真ん中にあったのが「財源」の問題だった。
政策の見直しには常に、財源論とセットで行われなければいけないが、与野党の交渉がいずれも難航したのは、財源をどう捻出するかで揉めたからだ。野党側から財源を提示しない要求が相次いだことに、与党側からも不満が噴出した。岸田前総理は野党にこう釘を刺した。

「国民のために結果を出すためには野党も責任を負うということであります。与党、野党ともに国民のために結果を出すために責任を分かち合う。これが少数与党政治の大きなポイントである」(3月1日福岡市での講演で)

例えば維新と合意した「高校無償化」は、年収の制限をすることなく、公立高校は今年4月から実質無償化、私立高校は来年4月から支援金を年間45万7000円に引き上げることとなった。維新が当提示した額に至らなかったものの、与党は維新の要求の多くを飲んだ形だが、多くの弊害も指摘された。受験戦争の過熱化、私立志向が高まり公立高校の定員割れの懸念、伝統校の質の低下まで指摘する人もいる。それでも弊害部分に、多くの議論が割かれることはなくタイムリミットが迫る中、与党は予算を成立させることを優先した。

予算案など重要法案の成立を優先させるため、与党は議論を疎かにしたまま要求を受け入れるべきではないし、野党も財源や弊害の議論を無視した要求をすべきではない。少数与党となる中、与野党ともに真摯な議論を進めることが今求められている。

TBS政治部 世論調査担当デスク 室井祐作

【3月JNN世論調査の結果概要は以下の通り】
●石破内閣の支持率は38.4%(先月調査より1.3ポイント上昇)、不支持率は57.7%(先月調査より2.0ポイント下落)

●政党支持率は、自民党25.6%(先月より0.9ポイント上昇)、立憲民主党5.6%(先月より0.8ポイント下落)、日本維新の会3.6%(先月より0.5ポイント上昇)、国民民主党10.9%(先月より2.8ポイント上昇)。

●自民・公明と日本維新の会が高校授業料について合意したことについて「評価する」は52%、「評価しない」は34%

●年収103万円の壁の見直しをめぐり、所得税の非課税枠を上乗せする額に年収の制限を設けることについて「一定の年収で制限すべき」は48%、「年収の制限をするべきではない」は44%

●「高額療養費制度」について政府が今後年齢や年収に応じ負担額を引き上げることについて「十分納得できる」が6%、「ある程度納得できる」が36%、「あまり納得できない」が33%、「全く納得できない」が23%

●政府与党が野党の要求を取り入れ新年度予算案を修正することに「評価する」は61%、「評価しない」は25%

●安倍派の元会計責任者の参考人聴取で裏金問題の「実態解明につながるとおもう」が22%、「実態解明につながらないと思う」が66%

●日米首脳会談を「評価する」は51%、「評価しない」は39%

●今後のウクライナの対応について、「ロシアの主張を受け入れず戦闘を継続すべき」が22%、「ロシアの主張を一部受け入れてでも停戦すべき」が63%

【調査方法】
JNNではコンピュータで無作為に数字を組み合わせ、固定電話と携帯電話両方をかけて行う「RDD方式」を採用しています。3月1日(土)、2日(日)に全国18歳以上の男女2462人〔固定828人、携帯1634人〕に調査を行い、そのうち41.7%にあたる1027人から有効な回答を得ました。その内訳は固定電話470人、携帯557人でした。インターネットによる調査は、「その分野に関心がある人」が多く回答する傾向があるため、調査結果には偏りが生じます。より「有権者の縮図」に近づけるためにもJNNでは電話による調査を実施しています。無作為に選んだ方々に対し、機械による自動音声で調査を行うのではなく、調査員が直接聞き取りを行っています。固定電話も年齢層が偏らないよう、お住まいの方から乱数で指定させて頂いたお一人を選んで、質問させて頂いています。今後とも世論調査にご理解、ご協力ください。