止めてくれたのは、妻・弓子さん
記者:でも、メジャーに残ったのはなぜ?

イチロー:それで逃げたら負けだと思ったからです。悩みましたけどね。それを止めてくれたのも妻だったんですよね。「あまりにもそれは勿体ない。大変だろうけど、もう少し踏ん張ってみてはどうか」という助言をもらいました。時間が経ったときに、それが5年10年経ったときにどうかって想像したときに、じゃあ、日本にそのときに戻ります。瞬間的にはおそらく盛り上がってくれる。じゃあ翌年、3年、4年続きますか?確かにそれは難しいという想像もしました。その熱量は続かないですね。それも大きかったですね。冷静に考えると、瞬間的なものだなって。で、もう一度アメリカでプレーすることは極めて困難になるだろうなと、それもありましたね。
妻・弓子さんの言葉で、アメリカに踏み留まったというイチロー。厳しい逆風の中でも戦い続け、マリナーズでは、デビューから10年連続200安打という金字塔を打ち立てた。
2012年には38歳でヤンキースに移籍した。7月には移籍後初本塁打を放ち、メジャー通算100本塁打を記録。自身11年ぶりとなる地区優勝にも貢献した。2015年には、41歳でマーリンズに移籍、翌年にはメジャー通算500盗塁と通算3000安打も達成。2018年に再び、古巣・マリナーズに戻った。