ほかのムシが食べないキャベツをあえて狙ったのがモンシロチョウだった

(東洋産業 大野さん)
「ここから少し物語調で『キャベツとモンシロチョウとサムライコマユバチ』のお話しをします。一部に誤解を含む表現もありますが、おつきあいください」

「害虫や病気から身を守る手段を得たキャベツのご先祖様。ほかの生き物に食べられにくくなり、元気いっぱい繁栄できるようになりました。しかし、ほかのムシが食べることができない青々としたキャベツのご先祖様に狙いを定めた虫がいます」

「ライバルたちが食べることができないキャベツのご先祖様をおなかいっぱい食べることができ、しかもその毒成分を体に取り込むことでほかの生き物におそわれにくくなる、目の前で青々と茂るそんな夢の植物を食べることができたらいいな。多くのムシがチャレンジしては失敗していきました」

「しかし、多くの犠牲を払いつつ、いつしかその毒を克服できたものが突然出てきました。キャベツのご先祖様を独り占めして、夢のような生活を送りはじめたそのムシがモンシロチョウのご先祖さまたちです」

「せっかくのほかのムシから身を守る手段を身につけたキャベツのご先祖様はさぞ悔しかったでしょう。でも、やられっぱなしになっているわけではありません。もっと硬くなったり、毒を強くしたり…より食べられにくく強いものも出てきたでしょう」

「でも、せっかくの身を守るための『毒』をさらにうまく無力化してしまって、むしろその成分はアオムシの食欲を誘うようになってしまい、どんどん食べられてしまうようになってしまいました」

「さて、どうしたものか、アオムシがやってきたら逃げることも大声を出して助けを求めることもできない…。でも、キャベツのご先祖様はアオムシを退治してくれる『用心棒』を呼ぶことができるようになりました」

「それが小さい頃チョウを育てようとしていた私たちの心を傷つけた、その名も 『アオムシサムライコマユバチ』などです」

アオムシサムライコマユバチ