3月15日~19日頃は七十二候で「なむしちょうとなる(菜虫化蝶)」です。厳しい冬を越した虫のサナギがいよいよ蝶に羽化する頃を指す言葉です。

昔の人が見た「なむしちょうとなる」の菜虫はモンシロチョウだったのかもしれませんね。

モンシロチョウといえば、小学校の授業で幼虫(アオムシ)を育てた経験はありませんか?キャベツを毎日与えて、蛹になり、綺麗なチョウが出てきて感動した!そんな経験がある方もいらっしゃるかもしれません。

一方、手塩にかけてアオムシを育てていたのに、ある日、ケースの端でたくさんの「小さな繭」に覆われてアオムシが死んでしまった…という記憶をお持ちの方もあるのでは。

「小さな繭」の正体、寄生蜂のアオムシコバチやアオムシサムライコマユバチについて、虫に詳しい東洋産業の大野竜徳さんに教えてもらいましょう。

寄生蜂はキャベツの用心棒だった

(東洋産業 大野竜徳さん)
「アオムシの死因となった寄生蜂は、実はキャベツの『用心棒』という側面があります」

ーキャベツと寄生蜂がそんな関係にあるとは。どういうことでしょうか。

(大野さん)
「春の野菜の代表格、キャベツは甘くておいしいですね。少しピリッとするような独特の辛みもアクセントになって、キャベツが好き、という方も多く、私たちの食卓でよく見る野菜の一つになっているのではないでしょうか」

「でも、キャベツが苦い、辛いと感じられて苦手、という方もいらっしゃるかもしれません。キャベツには様々な化学物質が含まれていて、例えばイソチオシアン酸アリル(アリルイソチオシアネート)という物質が含まれます」

(大野さん)
「早口言葉のような言葉ですが、平たく言うと、カラシやワサビの辛みの成分と同じです」

「この辛みの成分は少し硬くなった葉や傷ついた葉にはこういう成分が強く出て、虫にかじられにくくなってキャベツは身を守っています」

「また、この成分は殺菌作用もあるため、カビやほかの病気からも身を守ることができます。多くの虫にとってキャベツは『毒』なのです」

「というわけで、キャベツは比較的害虫や病気に強く、育てやすい作物だといわれることもあります」