■変わる集落、でも変わらない絆

元の自宅を解体した後、そこに畑をつくった佐久間さん。

今も毎日通っていますが、もうすぐそれも、できなくなるのです。

佐久間新平さん:
「ここは遊砂地のだいたい中心部になる。買収されることは決まっている」


住ヶ市集落の大部分は国が買収して、土砂災害を防ぐための「遊砂地(ゆうさち)」が整備されます。遊砂地は豪雨などで流れ出た土砂を受け止める場所で、流れてきた土砂をそこにあふれさせて下流への被害を防ぎます。

災害に強い町をつくるため・・・。遊砂地の整備に期待を抱く一方、複雑な気持ちもあります。

佐久間新平さん:
「全然景観が変わってしまう。いや、寂しいねやっぱり。正直寂しいです」


10月9日、芋煮が行われていたこの場所も遊砂地整備に伴い、今後使えなくなるため、竹灯ろうはおそらく今回が最後です。佐久間さんも、感慨深げに語ります。


佐久間新平さん:
「ばらばらになって生活している人たちが集まると、結構和気あいあいに話している」

この場所に自宅があった佐久間昭子さんは、災害公営住宅への入居が決まっていますが、早くても来年2月以降になると言います。集落への愛着は消えません。


佐久間昭子さん:
「やっぱり住ヶ市の方がいいよね。60年も住んだのだから」


集落がなくなり、離れ離れになってもそこにいた人たちのつながりは、かけがえのないものです。住民らは今後も定期的に集まり交流を続けていきたいと考えています。


佐久間さん:
「我々が被災した時に、誰ひとり犠牲者もなく、けが人もなく過ごせたのはやっぱりこの集落のつながり、絆がそうさせた。

以前のつながりを保ちながら定期的なレクリエーションの場を設けて交流を図って、年配の人も生き生きと過ごせるような集落にしていきたい」


豪雨災害から3年。次の災害に備えて町の姿は変わっていきますが、住んでいた人たちの絆は変わっていません。