こうした中、保護者などから町に寄せられた情報を受け、10月に県と中部広域市町村圏事務組合が合同で、保育士の配置基準などを確認する監査を行いました。

結果について県は「配置基準の違反は確認できていないが、保育士が担当のクラスから離れる時間があるなど、保育環境が十分とは言えない」。中部広域市町村圏事務組合は「0歳児クラスの保育士3人の内、2人が時短勤務となっている」などと指摘し、園に改善を求めました。

この結果について、11月25日に記者からの質問に応じた渡久地北谷町長は不満を示しました。


渡久地政志 北谷町長
「保護者や保育士から訴えのあった内容が監査に反映されたのか、私たちの望む適切な監査がされたのかは疑問が残るばかりです。これで保護者、保育士の不安が払しょくされたとは思っていません」

町へは園の関係者から、監査用の書類が正しく記載されていないなどの情報が寄せられていて、渡久地町長は監査の日程を指定せずに行う特別監査の実施を求めています。
また園関係者によると、監査の直前には複数の保育士が新たに採用されていたということです。


園は監査結果の通知が届く前に、県から口頭で説明を受けたとして保護者に次のような文書を送っています。

園からの通知(文章)
「県からは監査上大きな指摘は無く適正に処理されている。ご心配をおかけすることはありませんでした」

園からの通知に対して、保護者は…。


保護者
「『一連の報道がありましたが自分たちの腑に落ちないことばかりで、自分たちは悪くない』という言い訳ばかりのメールだったので、園長先生もずっと姿を見せないので事実確認も出来ず、真実が見えていない状況」

「『今まで改善されていなかったことはすみません、これからまた改善して良い環境を提供していきます』って言ってくれれば自分たちも『じゃあよろしくお願いします』っていう思いなんだけど、『それ(説明)はしません、できません』」

「監査の結果も紙切れ一枚だけできて、説明を求めているのにそれさえしてくれなくて、ここに本当は通わせてあげたかったけど、転園希望を出してそれが通りました」


町によると報道があった10月以降、10人の保護者から転園や退所の希望が提出されているといいます。また、園では支援が必要な園児2人に対して、それぞれ1人ずつ加配保育士を配置することで、町から年間720万円の補助金が支払われることになっていました。
しかし、適切な配置がされていないとして、町は今月21日付けで補助金の交付を取り消しました。さらに今後は過去にさかのぼって調査し、適切な配置が認められなければ、支給した補助金の返還を求める方針です。

渡久地政志 北谷町長
「生まれて間もない大切なこどもたちを預かる施設であると認識しなければいけない。安全な保育園の運営を確認すること、是正することを行っていただきたいなと思っています」

各所から改善を求める指摘を受けてもなお、保護者が納得する形での説明を避けている園側。こどもの命と向き合う園の姿勢が問われています。