前代未聞の激論が繰り広げられ、決裂に終わったアメリカとウクライナの首脳会談。ゼレンスキー大統領はアメリカと対話を行う用意があるとしていますが、トランプ政権からは非難の声が上がっていて、戦闘終結への道のりは、ますます不透明となっています。
その会談は和やかな雰囲気で始まりました。
アメリカ トランプ大統領
「ゼレンスキー大統領をお招きできて光栄だ」
ウクライナ ゼレンスキー大統領
「この文書がウクライナの本当の安全の保証の第一歩となることを願っている」
当初は笑顔も見られ、アメリカがウクライナの鉱物資源の権益を得る協定に署名し、関係改善を演出するとみられていました。
しかし、ゼレンスキー氏がトランプ政権がロシアに譲歩することへの懸念を繰り返し示したことから空気が変わりはじめ、バンス副大統領の発言で一気にヒートアップします。
アメリカ バンス副大統領
「大統領執務室にやってきて、自分の国の破壊を防ごうとしている政権を攻撃するのが無礼だと思わないのか?」
そして、首脳同士の言い争いに。
ウクライナ ゼレンスキー大統領
「戦時中は誰でも、アメリカでも問題を抱えるものです。アメリカは海を隔てているので(ロシアの脅威を)今は感じないかもしれないが、将来的には感じると思います」
アメリカ トランプ大統領
「そんなこと、わからないだろう」
ウクライナ ゼレンスキー大統領
「今は感じていないだけです」
アメリカ トランプ大統領
「これから私たちがどう感じるかなんて、言われたくない」
口論はさらに激しさを増します。
アメリカ トランプ大統領
「あなたはいま、とても非常に不利な立場にある。あなたにはカードがないんだ、我々にはカードがある」
ウクライナ ゼレンスキー大統領
「我々はカードゲームなどしていません」
アメリカ トランプ大統領
「まさにあなたはカードゲームをしている」
ウクライナ ゼレンスキー大統領
「私は真剣です。戦時の大統領なのです」
アメリカ トランプ大統領
「あなたは数百万人の命で賭けをしている。第3次世界大戦を賭けているんだ、あなたの態度はこの国に対してとても無礼だ」
双方の溝は埋まらず会談は決裂しましたが、口論激化のきっかけともなったバンス副大統領、一体どんな人物なのでしょうか。
ワシントン支局 涌井文晶 記者
「ウクライナへの支援に、もともと後ろ向きな議員でした。バンス氏としてはアメリカ・ファーストで税金をできるだけ国内に使いたい」
そのバンス氏、この発言でも注目されました。
アメリカ バンス副大統領
「この会談を通じて1度でも礼を言ったか。あなたの国を救おうとしているアメリカの大統領に感謝を示しなさい」
感謝を求めた、その真意は…
ワシントン支局 涌井文晶 記者
「支援をずっとやっているのに状況が好転しないし、振る舞いも変わらない。俺たちの言うことを聞かないじゃないかという不満が、あの“感謝が足りない”という言葉になって表れている」
会談決裂の後、ゼレンスキー氏はイギリスへ。
記者
「ゼレンスキー大統領を乗せた車が会議の会場となるランカスターハウスへ向かっていきます」
ヨーロッパの首脳らがウクライナの安全保障などを話し合う会議に出席し、温かく迎えられました。
終了後、イギリスのスターマー首相はウクライナへの軍事支援やロシアへの経済制裁の強化など、和平を保証するための“4段階の計画”を発表。ヨーロッパの複数の国が参加する「有志連合」を結成し、「停戦計画」をウクライナとともに策定することで合意したと明らかにしました。
イギリス スターマー首相
「これ以上、議論を続けるべきではない。行動を起こす時です」
また、有志連合による「停戦計画」も「アメリカの協力を得ており、今後も協議する」との考えを示しました。
会議終了後、ゼレンスキー氏は「アメリカとの協力の確かな基盤を築くべく、ヨーロッパで取り組んでいる」としています。
ウクライナ ゼレンスキー大統領
「我々はアメリカからの援助を頼りにしている」
鉱物資源をめぐる協定に「署名する用意がある」とも話しました。
しかし、会談に同席したトランプ政権の幹部からは、改めてゼレンスキー氏の責任を指摘する声が上がっています。
アメリカ ルビオ国務長官
「我々は戦争を終わらせようとしている。双方が交渉のテーブルに着かなければ不可能だ。まずはロシアから、米大統領が言っているのはそのことだ」
ゼレンスキー氏について、ルビオ国務長官は「ロシアを交渉に応じさせることが重要なのに、それを妨げた」と非難。
ウォルツ大統領補佐官も「戦争を終わらせるという目標を共有しているかはっきりせず、我々は驚愕した」とし、ルビオ長官とともに鉱物資源をめぐる協定を「前に進めてはならない」と意見したことを明らかにしています。
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