「官僚が勝手なことはできない」が…意思決定に取り込まれることも?

 財務官僚は政治家より大きな力を持っているのでしょうか。森信氏は「デモでは『選挙で選ばれていない財務官僚が勝手に』と言うが、最終決定権者はあくまで財務大臣。官僚が勝手なことはできない」と強調。現場で実際に動くのは官僚ですが、方針を決めているのは政治家であることから、市民はその政治家に思いを伝える、あるいは、市民の思いを実現してくれる政治家を選ぶという方向に動くべきではないか、という考え方もあるとしています。

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 財務省設置法・第3条では、財務省の任務の1つとして「健全な財政の確保」を定めています。つまり、財政赤字の状況をチェックするのが仕事です。組織外の政治家との関係について、森信氏は「本来、官僚はシンクタンク(調査・研究機関)」の立場だと前置きしつつ、「『決められない政治』の中で、意思決定のプロセスに取り込まれてしまうことも」あると指摘。ここが財務省批判の1つのポイントではないかと言います。

 例えば、政治家同士の話し合いでなかなか決まらない「103万円の壁」協議の中で、財務省は「『恒久財源を7兆円も減らすことはできない』という情報を、大臣や自民党の税制調査会とも共有している」と森信氏は指摘します。客観的なデータを示すだけでなく、例えばその先にまで言及すると、財務省として踏み込み過ぎているのではないかという見方があるようです。