国民民主党が掲げる「103万円の壁」の引き上げ案。与党側との協議は“打ち切り”となりました。そうした中、国の予算編成に深く関わる財務省に対して不満を持つ人たちが、各地で『財務省解体デモ』を行っています。
“最強官庁”とも呼ばれ絶大な力を持つと言われる財務省。一体、どういった組織で政治にどのような影響を与えるのか?元財務官僚・森信茂樹氏の見解を交えて、その知られざる実態をまとめました。
「財務省が上」ではないと指摘 他省庁との関係は?
“最強官庁”“官庁の中の官庁”の異名を持つ財務省。主な部局として、国の予算の作成などを担当する「主計局」や税の仕組み作りなどを行う「主税局」、その他にも「関税局」「理財局」「国際局」があります。その中で、“花形”と言われるのが主計局と主税局であると元財務官僚の森信茂樹氏は指摘。さらに、財務省というのは様々な省庁とのバランスをとる役割があるため、“バランサー”タイプの真面目な人が入って来るということです。
財務省の力が「強い」と言われるのはなぜか。予算・税制を作るにあたって、財務省に対し他の省庁は事業の費用を要求し、それに対して査定を行うのが財務省です。ただ、要求側と査定側という関係ではあるものの、「あくまで役目なので、『財務省が上』ではない」と森信氏は言います。なお、各省庁と結びつきが深い「族議員」と呼ばれる専門性の高い国会議員と交渉するのも財務省の役割です。
では、そんな財務省にはどんな人たちがいるのでしょうか。主な役職は以下のとおり。
▼政治家
・財務大臣:加藤勝信氏(財務省トップ)
・副大臣
・大臣政務官
▼官僚
・事務次官(事務方トップ)
・主計局長
・主税局長
森信氏によりますと、現場でバリバリ働いているのは主税局長と主計局長で、彼らは最終的なポストとして事務次官に就くことが多いようですが、その事務次官は一般企業の “会長職”のようなポジションだということです。
また、財務省の組織外の政治家としては、税に関する協議を行う各党の「税制調査会」のメンバーらが挙げられます。自民党の税制調査会の幹部は「インナー」と呼ばれ、現在は宮沢洋一税調会長、森山裕顧問、小渕優子議員ら有名議員が名を連ねています。今回「103万円の壁」の協議をしていたのも、自民・公明・国民民主の税制調査会のメンバーです。