後藤部長のリアルポリティクスです。10月3日に臨時国会が始まりましたが、岸田内閣は支持率の低迷に苦しんでいます。安倍元総理の国葬や長男の総理秘書官起用など一連の対応からは政権が抱える弱点が浮き彫りになってきました。TBS報道局・後藤政治部長の解説です。
■支持率低迷に悩む岸田総理 “失敗の本質”を問う

後藤部長:
10月3日から臨時国会が始まりました。岸田総理が所信表明演説を行い、それに対する各党の代表質問が行われました。岸田総理、このところ厳しい状況が続いています。
▼内閣支持率の推移(JNNが行った9月と10月の世論調査比較)
支持率...5.4ポイント低下し42.7%
支持できない...5.6ポイント上昇し53.9%
ーー今回、支持率は過去最低を記録しています。
後藤部長:
8月までは、まだ支持率は好調だった。それが9月に「不支持」が「支持」をわずかに上回り、10月はさらに差が開いた。支持率の回復基調にはなかなか戻りづらい状況です。
ーー原因をどう見ていますか?
後藤部長:
直接のきっかけは安倍元総理の国葬なのだと思います。安倍元総理の国葬についてはいろいろな観点からの反対意見などがありました。
■国葬決定まで6日間…早すぎた決定プロセス

後藤部長:
1つは「法的な根拠はあるのか、ないのか?」という点。手続き論についての批判ですね。私が今回注目したいのは決定プロセス。どういう形で岸田総理が決めたのかに集中して見ていきます。
安倍元総理の銃撃事件が起きたのが7月8日でした。そして2日後には参院選挙などを挟んで、7月14日夕方の記者会見で岸田総理が国葬を発表しました。
ですから事件発生から1週間もない中での決定でした。スピード決断と言えばそうですが、国葬は戦後の吉田茂元総理の1例しかなかった。岸田さんとしても6日間という限られた時間で思案しながら決めたのでしょうが、その6日間という期間はどうだったんだろうと感じます。
決定の背景として、おそらく告別式などに多数の人が弔問・献花に訪れていた光景を見て、一つの判断材料にしたのだと思います。しかし実際にその後の流れを見ると、その決定が早すぎたと思います。
確かに国葬を決めた段階では旧統一教会の問題は大きく取り上げられていませんでした。しかし結果論で言うと、支持率が低迷するきっかけとなりました。その決定はもう少し慎重になれたのではないか、という指摘が上がってくるのではないでしょうか。岸田さんが何を根拠に国葬を決定したかについては注視していく必要があります。
ーー決断が早すぎた?
後藤部長:
もう1つはどういった要因を基に決めて行ったのかということ。なぜそこにこだわるかというと、これはリスクコントロールに大きく関わる問題だからです。国葬にするというのは政権にとっては一大決心になります。
しかし同時にこれだけ大きな決定、色々な場面でハレーションが生じることも、国葬を決めた7月14日の時点で想定されたと思います。具体的には国会が控えているから、野党からどういった追及・質問が出てくるのか。あるいは国葬に対して肯定的ではない、慎重な意見は想定されます。
そこに対してどういったリスクが想定されるか、それも含めてプラスの部分・マイナスの部分を双方照らし合わせる。それでも自分は「国葬を実施するのだ」と、どういう決定プロセスが行われていたのかは今後の政権の体質を見るうえでも重要になってくると思います。