◆馬と目を合わせ、呼吸を整えて…築く信頼関係

今では機械も取り入れて作業していますが、そのやり方は時代を経ても変わることなく、手作業で入れる「刻み」は千葉さんが作り上げた“独自”の技術となっています。

出来上がった蹄鉄を毎朝、調教前の馬一頭一頭に丁寧に装蹄していく千葉さん。

馬によって蹄の形は違うため、1300℃にも達するコークスの火の中に蹄鉄を入れ熱し、取り出した蹄鉄を馬の足元をみながら、冷めない間にハンマーで打ち込みます。

これを繰り返しながら、それぞれの馬に合う形を形成していくのです。

大きな煙も上がりますが、馬の蹄は厚く、痛みはありません。 

しかし馬によって性格が違うので、時には暴れたり叫んだりする馬もいます。

その時は馬としっかり目を合わせ、呼吸を整え、今まで養ってきた経験と、馬との信頼性でその場を落ち着かせます。

一頭にかかる時間は約1時間。昔は1日で40頭ほど蹄鉄の調整をした時もありました。

・千葉喜久雄さん(83)
「やっぱり競走馬というのに手をかけて、『俺の仕事した馬が1着になったな』とか、そういうようなことは見ててとっても嬉しいわな」