◆独自技術で作り出す「刻み蹄鉄」

工夫の一つは、夏と冬で形が違います。

左が夏用 右が冬用の蹄鉄

夏に使用する蹄鉄は平の形をしていますが、冬は凹凸が刻まれていて、「刻み蹄鉄」と呼ばれています。

冬になれば、コースの雪が積もり滑りやすくなりますが、この「刻み」が路面をしっかりと捉えることができるので、競走馬たちは安心して走ることができるのです。

昔の冬の蹄鉄は「刻み」ではなく、鋭いスパイクのような形をしていて、馬が足を引っ掛けて怪我をすることが多かったといいます。

調教師から「何とか馬を守れないか」と相談をされ、試行錯誤の末に完成したのが「刻み蹄鉄」だったのです。

千葉さんが作る「刻み蹄鉄」

・千葉喜久雄さん(83)
「伝統技術ってわけじゃないけど、手で叩くしかないから大変なんだわ。だから機械を自分で考えて、凹凸の型も考えたのが苦労した」

蹄鉄は一本のまっすぐな鉄の棒から作り始め、蹄の形に曲げていき、一つ一つに細かく「刻み」を打ち込みながら作り上げていきます。もちろん、全て手作業です。

・千葉喜久雄さん(83)
「馬の足元ばっかり見ているから、この馬がオスだかメスだかわからないときがあるのさ。でも足を見れば馬の状態がわかるの」

馬の脚に合わせて蹄鉄の調整をする千葉さん