◆15歳農耕馬から歩み始めた装蹄師人生
15歳という若さで蹄鉄装蹄師として仕事を始めた千葉さん。
北海道美瑛町で兄が先に装蹄師として活躍したことから、中学校卒業後、すぐに弟子入りしたといいます。
その頃の主役は競走馬ではなく、畑などを耕すときに活躍する農耕馬でした。

・千葉喜久雄さん(83)
「農家の人だから、馬がいなければ畑も起こせないし、馬だから蹄鉄と言うのを履かせなきゃいけないしね。それは忙しかったんだよ。そんなような時代だから誰も『装蹄師になる!』って言う人もいないでしょ?それで兄と2人でやってたわけさ」
「そりゃ大変だったよ。仕事を覚えるのが大変だった。蹄鉄なんて聞いたこともなかったし、触ったことなかったしね」
当時は毎日が忙しく、朝早くから夜遅くまで装蹄作業は続き、腕を磨いてきたといいます。
しかし、時代の流れとともに農業も機械化が進み、農耕馬が減少。
美瑛町に馬がいなくなった頃、知り合いの調教師から誘いを受け、ばんえい競馬の世界の門を叩きました。

「農耕馬も競走馬も基本的には蹄の形は変わらない」と千葉さんは言いますが、実際に作っている蹄鉄は細かな工夫が施されています。